米IBMは2月12日~14日にサンフランシスコで年次イベント「IBM Think 2019」を開催し、同イベントには期間中に世界各国から2万6000人が参加した。

  • 会場のMoscone付近には「think」をかたどったオブジェが置かれている

    会場のMoscone付近には「think」をかたどったオブジェが置かれている

本稿では初日に行われたIBM Chairman President and CEOのGinni Rometty(ジニ・ロメッティ)氏の「Building Smarter Businesses」をテーマにした講演を紹介する。

デジタル変革の第1章がデジタル化やAIに加え、アプリケーションなどをクラウドで提供するフェーズであったことを踏まえて、同氏は「デジタル変革の第2章を迎えました。第2章は『デジタルAI』『スケーラビリティ』『ハイブリッドクラウド』『ミッションクリティカルアプリケーション』をキーワードに、データが今こそ競争優位力をつける重要な武器となります。エンタープライズ指向であり、信頼され、責任を持ちながら包括的に考え、今後の舵取りをしていかなければなりません」との認識を示す。

  • IBM Chairman President and CEOのGinni Rometty(ジニ・ロメッティ)氏

    IBM Chairman President and CEOのGinni Rometty(ジニ・ロメッティ)氏

ロメッティ氏は第2章を迎えるにあたり、5つの重要なポイントがあるという。それは、第1に顧客の変革を支援する「Outside in」、第2はコアなアプリケーションのモダナイズ(近代化)などの「Inside out」、第3がOutside inとInside outをつなげるビジネスプラットフォームの必要性、第4に公平なAIのプラットフォーム、第5にAIはIA(Infomation Architecture:情報を分かりやすく伝え、受け手が情報を探しやすくする表現技術。情報アーキテクチャ)が必須だと説明した。

特に5番目に挙げたポイントについては、それをサポートするため「Watson Anywhere」と「IBM Business Automation Intelligence with Watson」を発表している。

オープンで拡張性のあるAI

Watson Anywhereは、Watsonをオンプレミス環境やプライベートクラウド、パブリッククラウド、他社のクラウドでも動かせることができるという。Business Automation Intelligence with Watsonは、簡単な業務から複雑な業務までインテリジェントに自動化しつつ、AIが業務の成果に与える影響の測定を可能とし、年内に提供を予定。ロメッティ氏は、これらの発表を受け「オープンで拡張性のあるAIです」と、力を込めた。

これまで、同社はAIに関して顧客と2万以上のエンゲージメントを持ち、カスタマーサービス、人事関係、エネルギー制御、予兆分析など多種多様な分野に浸透しているという。その中で「コア」「信頼性」「スケーラビリティ(拡張性)」の3点を研究成果として挙げている。

コアは、少ないデータでもスケーラビリティを担保するため、トランスファーラーニングやワンショットラーニングとも呼ぶ、1回で学習させて統合し、推論、動機付けまでを行うことが実現可能だという。

信頼性については、公平かつ堅牢に活用していくためにデータのライフサイクル管理に取り組むほか、スケーラビリティはAIを自動化するためのAIであり、効率化が図れるとしている。