2018年も、フルサイズミラーレスをはじめとする魅力的なカメラや交換レンズが多数お目見えし、写真ファンの注目を集めました。そこで、各社の新製品を試用&購入する機会の多いカメラマンに、高い評価を与えたベストデジカメとベスト交換レンズをそれぞれ1製品ずつ厳選していただきました。今回は、気に入ったカメラを衝動買いしてしまう落合憲弘カメラマンのチョイスを紹介しましょう。

【カメラ編】ソニー「α7 III」

ここ数年、「新製品」というくくりにおいて、目を奪われ興味を引かれるメーカーには偏りが生じていた。と、さりげなく過去形で書いているけれど、実際はバリバリの現在進行形。今この段階においても、そのへんは偏りまくっているんである。

何の忖度も義理もお付き合いもないのに、どうして「こりゃいいわー」「欲しいねぇ」「わーい、買っちゃったじゃんかよぉ(泣)」ってなるんだろう? 買ったところで喜びながらも泣いているのがジツに象徴的。ウレシイのだけど100パーの納得には至らないというか。いやいや、100%納得はしているし満足もしているのだけど、心のどこかに「これでいいんだろうか?」なんて思いがくすぶっているって感じかなぁ。

そんなこんなを含めながら選び出した2018年のベストバイ・カメラは、ソニー「α7 III」であります。機能と価格のバランスをイイ意味で崩してくれたところに、寒風吹きすさぶ我が財布の中身と「ミラーレスであっても動体を満足に撮れてこそ一人前」なる少しばかりヘソの曲がった評価軸がビビビッと反応。「α7R IIIの購入を迷っているのなら、まずはコッチを買っちまえ!!」となったワケである。

  • 落合カメラマンのチョイスは、ソニーが2018年3月に発売した「α7 III」。発売直後から長らく入荷待ちの状況が続くほどの大ヒットとなった。カメラ量販店での実売価格は税込み23万4000円前後

具体的にナニが良かったのか? まず、α9に見劣りするところのない使い心地の得られるAFだ。動体に対峙しても不足をまったく感じさせないところがいい。っていうか、ミラーレス機としてはかなりスゴい。とりわけ、測距点選択を「ワイド」や「ゾーン」設定にしているとき、つまりいわゆる「測距点自動選択」で動体を追っているときの総合的なAF追従能力は現状、他社のミラーレス機を完全に引き離すレベルにある。

そして、α9を凌駕するメカシャッター時、最高約10コマ/秒の俊足ぶりも高評価。42MPのα7R IIIがナニゲに同じ数字を持っていることの方がよっぽどビックリなんてハナシもあるけれど、24MPのフルサイズセンサーを搭載しながら20万円そこそこの実勢価格をつけているα7 IIIも、違うベクトルにおいて負けないぐらいエライ。これは「α軍団」の布陣に抜け目がないことの表れでもある。

高感度画質はα9以上(私見的判断)。EVFの“見え”はα9やα7R IIIと比較するとイマイチ(誰の目にも明らか)。いまだα7R IIIに対する恋心は持ちつつα7 IIIにも満足している私って、やっぱり浮気者なのかしらん? ああ、いつか「R」にも手を出しちゃいそうでコワイ……??

  • 今後のミラーレス機の勝負どころは、画質ではなく「動く被写体を測距点自動選択で確実につかみ続ける能力」にあると思っている。となると、ソニーの優位性は今しばらく揺るがぬまま、か? それじゃあつまらないんだけど……(FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS使用、F8、1/1000秒、ISO5000)