DMR-SUZ2060のセットアップはすこぶるカンタン。電源を投入したあとは、画面の指示に従い操作を進めるだけ。リモコンで入力する情報は現在地の郵便番号くらいですから、手間はかかりません。筆者の場合、新4K放送開始にあわせてBSアンテナを入れ替えたため、同軸ケーブルをエアコンの通気ダクトに通す作業で悶絶しましたが、アンテナの角度を調整し「NHK BS4K」のロゴが映ったその瞬間、すべてが報われたような気がしました。

ただし、テレビとの接続には注意が必要です。HDMI 2.0の4K/60p入力とHDCP 2.2に対応したテレビを用意し、DMR-SUZ2060とテレビをつなぐHDMIケーブルもHDMI 2.0およびHDCP 2.2対応でなくては、新4K放送のクオリティを十分に発揮できないからです。DMR-SUZ2060には、HDMIケーブルが付属していません。従来のフルHD対応ビデオレコーダーから買い替える場合には、当てはまるHDMIケーブルもあわせて購入したほうがいいでしょう。

新4K放送はHDR情報をHLG(Hybrid Log Gamma)という方式で送信するため、受像機側にはHLG対応が求められますが、最近登場したばかりの規格なので、既発売の4Kテレビの大半はこの方式に対応しません。

しかし、どのような4Kテレビでも「黙ってうまくやってくれる」のがDMR-SUZ2060のいいところ。HLG非対応の4K HDRテレビにはHDR10、HDR非対応の4KテレビにはSDRに自動変換のうえで出力する「自動映像フォーマット切り換え機能」があるからです。事前設定は不要で、必要に応じて実行されて画面に「ダイナミック変換出力」と表示するだけですから、それと気付かないまま恩恵にあずかることになるかもしれません。

  • 4K DIGA DMR-SUZ2060

    HLG非対応の4Kテレビ、HDR非対応の4Kテレビも「自動映像フォーマット切り換え機能」が最適の状態に処理してくれます

肝心の映像クオリティですが、圧巻のひとこと(誌面や動画でお伝えできず申し訳ありません)。緻密で立体感すら感じさせる情報量の多さもさることながら、暗部のディテールからまぶしい光まで扱えるHDRのメリットは計りしれません。肌の微妙な起伏や毛髪の質感までリアルに映し出すため、この俳優さん、実は結構な年齢だったんだ……などと衝撃を受けてしまうかも。

地デジ番組を4Kテレビで見るとブロックノイズが目立ちますが、新4K放送ではほとんど気になりません。建物の輪郭や文字スーパーの周囲ににじみが見当たらないことは、放送波の信号「4K/4:2:0」を「4K/4:4:4」に補間する、パナソニック独自の画質エンジン「4Kリアルクロマプロセッサ」の効果でしょう(4:2:0や4:4:4の詳細は割愛します)。