Hewlett Packard Enterprise(HPE)は11月27日、スペイン・マドリードで開催したイベント「HPE Discover Madrid 2018」で最新のエッジコンピューティング製品を発表した。またエッジでのOTとITの融合を容易にするモジュールとプラットフォームも発表、競争が激化してきたエッジ市場でのリードを固める狙いだ。

コンバージド・エッジシステム「HPE Edgeline」のメリットとは?

エッジは製造、電力グリッド、キャンパス、スマートシティなどで活躍するモノがあるところであり、ここで行う処理がエッジコンピューティングとなる。

HPEは2016年に「HPE Discover Las Vegas」で、エッジゲートウェイに処理能力を持たせたコンバージド・エッジシステム「HPE Edgeline」を発表、今年6月の「HPE Discover Las Vegas」でCEOのAntonio Neri氏はこの分野に40億ドルを投じる計画を明らかにした。

EdgelineでHPEのエッジコンピューティング分野を率いるHPEのバイスプレジデントでコンバージド・サーバ、エッジ、IoTシステム担当ゼネラルマネージャを務めるTom Bradicich氏は、「HPEは急速にエッジに進んでいる」と述べる。

  • Hewlett Packard Enterprise Vice president and general manager, servers and IoT systems Tom Bradicich氏

Bradicich氏によると、Edgelineの目標は以下の2つだ。

  1. エンタープライズレベルのITを修正なしに(ミニチュア版ではなくフル版が利用できる)エッジでも利用できる

  2. OTを融合してIT内に統合する

「エッジにあるOTを融合し、コンピューティング、ストレージなどと同じシステムに入れてエンタープライズレベルのセキュリティや管理機能を入れる」と、Bradicich氏はEdgelineについて説明する。

Edgelineのメリットは「レスポンス時間の高速化」「使用する帯域の削減」「管理コストの低下」「セキュリティと信頼性」などだ。Bradicich氏は、物理的にOTとITを同じシャーシに入れることをスマートフォンにたとえ、カメラで撮影してすぐにInstagramに投稿できるように、エッジで処理することですぐに問題に対応するなどのことができると述べた。すでにあるOT機能を統合するのはHPEが初だという。

  • HPE Edgeline Converged Edge Systemsは、コントロールシステム、データ取得などのOTとITを融合するエッジコンピュータ製品ライン

エッジに関する4つの発表

この日の発表は大きく4つ。1つ目の発表は、OTとITの物理的なコンバージェンスを迅速にする「HPE Edgeline OT Link Platform」だ。物理システムの設定は面倒であり、OTネットワークやコントロールシステムを協調するためのカスタムコードなどの作業が必要だが、同製品はこれを高速化するという。

具体的には、HPE Edgeline OT Link認定モジュールとPlatformで構成され、モジュールをOTシステムと接続することで、双方向での通信を実現する。I/0に加え、CANバス、Modbusなどの産業用のプロトコルをサポート、FPGAモジュールとの統合も可能。Platformは、サードパーティアプリケーションカタログ、ワークフローエンジンを備えたプラットフォーム機能を提供し、ドラッグ&ドロップで操作できる。Amazon Web Services(AWS)、Google、Microsoft、SAP、PTC、GEなどが参加しており、容易にエッジからクラウドに接続できる。

  • HPE Edgeline OT Link Platformでは、OTとIT企業、それにシステムインテグレーターで構成されるエコシステムを構築する

2つ目の発表は、エッジの管理とセキュリティだ。製品ラインアップとしては、HPE Edgeline Converged Edge Systemsに組み込まれた形で提供され、常時接続ではないエッジ向けにプロビジョニング、システムの健康状態のモニタリング、遠隔からのアップデートなどの機能を備える「HPE Edgeline Integrated System Manager」、Edgeline Converged Edge Systemを遠隔管理できる「HPE Edgeline Infrastructure Manager」、エッジにあるシステムにプッシュできるコンテナ化された機能のリポジトリ「HPE Edgeline Workload Orchestrator」などがある。Bradicich氏は、「エッジ向けに最適化されたシステム管理ソリューションとしては初」と胸を張る。

3つ目は、Edgelineファミリーの新製品「HPE Edgeline EL300 Converged Edge System」で、OT LinkとHPE Edgelineシステム管理製品を利用できる。シャーシはファンレスでプロセッサは「Intel Core i5」を搭載、メモリは最大32GBでストレージは3TB。ビジョン処理が可能な「Intel Movidius Myriad X」ユニットもサポートするため、AIや動画の解析をエッジで行うことができるという。

  • 「HPE Edgeline EL300 Converged Edge System」。手前にあるのはHPE Edgeline OT Link認定モジュール

4つ目は、技術サービス部隊であるHPE Pointnextが提供する「HPE Edgeline Field Application Engineering Services」。顧客によるOT Linkモジュールの構築、IoTやサイバーフィジカルシステムにおいて、OT Linkプラットフォームを使ってアナリティクスを動かしたり、クラウドと接続したりといったことを支援する。

顧客の1社であるCenterPoint EnergyはスマートパワーグリッドでHPE Edgelineを利用している。同社のCTO、Steve Pratt氏は、「エッジでデータを処理できることは重要」とコメントした。同社は安全性と信頼性を目標に掲げており、「ITとOTを組み合わせてその上でAIを利用できる。意思決定をエッジでできることは大きなバリューになる」と続けた。

HPE Edgeline EL300 Converged Edge System、HPE Edgeline Integrated System Manager、HPE Edgeline Infrastructure Manager、OT Link認定モジュールは同日提供を開始、HPE Edgeline OT Link PlatformとHPE Edgeline OTLink Workload Orchestratorは2109年第1四半期に提供予定。HPE Edgeline Field Application Servicesも提供を開始した。