NTTコムウェアは、通信設備など社会インフラの保守点検業務に向け、ドローン、AI、MRを活用したスマートメンテナンスソリューションを2019年3月から提供すると発表した。

このソリューションはパイロット・撮影データなどドローンを活用する際に必要となる情報を一元的に管理する「ドロポ」、ドローン等による撮影画像を元に3Dモデルを構築することで、デジタル空間上での目視点検・診断・記録を実現する「KnowledgeMap 4D」、画像認識AI「Deeptector」および、ドローンの飛行や設備の措置・修繕をMR(Mixed Reality)技術で支援するツール「KnowledgeMap xR(開発中)」からなる。これらはすべて、NTTコムウェアの自社開発製品。

  • ソリューションの位置づけ

「ドロポ」(2018年度内提供開始予定)は、NTTグループの鉄塔、局舎、橋梁、管路、電柱、吊線、とう道といった設備点検業務の知見をもとに開発したもので、ドローンやパイロット、フライトや撮影データの管理など、業務にドローンを導入する場合に必要となる計画や管理といった附帯業務を支援する。

  • 「ドロポ」

「KnowledgeMap 4D」は、ドローン航行による撮影写真から、SfM(Structure from Motion)技術により、3Dモデルを生成し、点検対象の劣化状況を写真と3Dモデルで把握、管理することを可能にする(特許出願済)。3Dプラス時間軸の4Dにより、過去の点検写真との比較が行えるほか、AIによる不具合結果の可視化も行える。

  • 「KnowledgeMap 4D」

写真上に不具合点検・登録・報告業務ができるアノテーションツールを具備しており、同じ通信インフラの過去に撮影した写真を時系列で管理することで、経年劣化状況の把握ができるほか、ノウハウが反映された点検・診断結果が蓄積される。

この蓄積データを用いて、画像認識AI「Deeptector」に教師データとして繰り返し学習させることにより、不具合箇所の自動検知・解析ができるようになる。

「KnowledgeMap xR」は、HMD (Head Mount Display) を装着することで、現実のドローンを見ながら、リアルタイムでテレメトリーデータ・飛行ルート・撮影位置・撮影画像などを現実空間上に浮かび上がらせる。ドローンの飛行ルートを空間に投影できるほか、不具合の位置や情報をホログラム上に表示できる。

  • 「KnowledgeMap xR」

さらに保守点検業務支援機能では、KnowledgeMap 4D(2019年度実用化)で管理する不具合箇所の情報を現実の点検対象の上に重ねて表示することで、点検漏れを抑止する。

  • KnowledgeMap 4DでMRを利用して不具合箇所の情報を現実の点検対象の上に重ねて表示

NTTコムウェア テレコムビジネス事業本部 事業企画部長 庄司修氏

NTTコムウェア テレコムビジネス事業本部 事業企画部長 庄司修氏は、「インフラ点検においては、高額、危険、スキルが必要という問題がある。われわれには設立当初からNTTグループのインフラをずっと守ってきた知見、技術力がある。ドローン、AI、MRを使ってこれらの問題を解決していく。自社開発の製品なので、APIを提供しており、ニーズに応じてAPIを活用できる仕組みになっている。今回のソリューションによって、ドローンの産業界での活用の一翼をになっていきたい」と語った。