レノボ傘下の富士通クライアントコンピューティングは6日、2つの「世界初」を実現した、同社PCの新製品を発表しました。同日開催された発表会では、代表取締役社長を務める齋藤邦彰氏が登壇。「こだわり抜いた『匠』のものづくりで実現した。自信を持ってお届けする」と新製品をアピールしました。

  • 富士通クライアントコンピューティングが発表した世界最軽量の13.3型ノートPC「LIFEBOOK UH-X/C3」(右)と、世界で初めて液晶一体型PCに新4K衛星放送チューナーを内蔵した「ESPRIMO FH-X/C3」(左)

新製品の発表会で登場したPCは、重さ698gと、13.3型ノートPCとして世界初の軽さとなる「LIFEBOOK UH-X/C3」、そして液晶一体型PCとして世界で初めて新4K衛星放送チューナーを内蔵した27型4K液晶ディスプレイ一体型PC「ESPRIMO FH-X/C3」の2機種です。同社は、仕事とプライベートのどちらで使っても密度の濃い時間を過ごせるとして、「自分の時間を、最高に高める『X』(テン)シリーズ」をテーマに訴求していく考えです。

200回の試行錯誤を繰り返して生まれた世界最軽量

  • LIFEBOOK UH-X/C3

新製品のひとつ「LIFEBOOK UH-X/C3」(以下、UH-X)は、13.3型ノートPCとしては異例の軽さとなる、698gを実現したモバイルPCです。前身にあたる「LIFEBOOK UH75/B3」(2017年10月発表)は748gで、こちらもUH-Xが登場するまでは13.3型ノートPCとして世界最軽量でした。ここから50gの軽量化を図りながら、一方で剛性は高まったといいます。

  • 発表会では、磁力でUH-Xを浮かした展示も行われていました

ぶつけたり落としたりしても大丈夫なよう、ある程度の剛性が求められるモバイルPCにとって、50gを軽量化する、というのは難しいことです。同社ではまず基板設計を見直し、従来から15%マザーボードを小型化。また、軽量で堅牢なリチウムイオン合金を、キーボード面の素材として新採用しました。液晶は、従来から採用していたIGZO液晶ですが、より薄くなった最新のIGZO液晶を採用。キーボード下の金属カバーも、堅牢性を保持しつつ穴を明けていくことで、軽量化していきました。

合わせて、ファンをより効率的に冷却できる位置に変更し、実装エリアを5mm拡大。これにより、ファン音の低減を図りました。インタフェースでは、USB Type-Cポートを前モデルから1つ追加し、新たにBOX型スピーカーを内蔵することで、音質面の向上も行われています。バッテリは2セルを搭載。スペック上の駆動時間は11.5時間を確保しました。

  • 前モデル「LIFEBOOK UH75/B3」の基板(左)と、新しい「LIFEBOOK UH-X/C3」の基板(右)。ファン部分の位置や、穴の大きさが変わっているのがわかります

  • キーボード下の金属カバーも、穴を多くあけて軽量化しました。左が前モデル、右が新モデルです

同社のモバイルPCを使うユーザーを対象にした調査では、「置き場所を取らない」「本体が軽い」「メイドインジャパンである」といったポイントが、モバイル市場全体の満足度と比べて、特に満足度が高いポイントだったといいます。これを受け、同社は”究極のモバイルPC”の開発に着手。齋藤社長は、LIFEBOOK UH-X/C3の開発にあたり「200回近くの試行錯誤を繰り返した」と紹介しました。これまでにない軽さと、堅牢性の確保で「モバイルした先でも不自由なく使える」と自信をみせます。

製品の概要は、レビュー記事「富士通『LIFEBOOK UH-X/C3』実機レビュー! 『中身入ってる?』思わず見ちゃう世界最軽量698gの13.3型ノートPC」や、ニュース記事「富士通、698gで世界最軽量を更新した13.3型ノートPC『LIFEBOOK UH-X』」で詳しく紹介しています。

映像に没頭、自分だけの趣味の時間を獲得

  • ESPRIMO FH-X/C3

27型液晶一体型デスクトップPC「ESPRIMO FH-X/C3」(以下、FH-X)は、2018年12月1日から開始予定の新4K衛星放送に対応したチューナーを1基内蔵していることが大きな特徴です。PC自体にも、3,840×2,160ドットの4K液晶ディスプレイを備えており、新4K衛星放送の鮮やかな映像を4Kディスプレイで楽しめるようになっています。

  • 趣味の時間に没頭できるなど、上質な時間を獲得することが目的。本体の設計も一新されました

新4K衛星放送チューナーの内蔵だけでなく、FH-Xでは上下左右のベゼル4辺が狭額縁になっており、齋藤社長は「美しい映像に没頭できる」と強調。また、サウンドもハイレゾ対応の2.1chスピーカー(4W+4W+10W)を前面に備え、齋藤社長は「感動の映像と音で、ユーザーの時間を最高のものにする。自分だけの空間を堪能できる」と紹介しました。なお、普通のテレビが見られる地上/BS/110度CSデジタルチューナーも2基内蔵しています。

  • ハイレゾ対応の2.1chスピーカー(4W+4W+10W)を前面左右に、USBポートやUHDBD光学ドライブなど、よく使うインタフェースを前面中央に備えます

  • 本体の黒い箱の上に、狭額縁の27型ディスプレイが載っているデザイン。ディスプレイの位置は前後に調整できます

「X」シリーズのテーマは「感動」

この2つのPCは、「自分の時間を、最高に高める『X』(テン)シリーズ」として、UH-Xは11月15日から、FH-Xは11月下旬から販売します。価格はUH-Xが税別250,000円弱、FH-Xが税別300,000円弱と、フラッグシップらしい価格帯で提供です。

齋藤社長は、この「X」シリーズのテーマを「感動」と紹介しました。感動の軽さであり、感動の映像体験というわけです。「時代や価値観の変化に目を向け、個人のニーズに合わせて開発したPC。人生が100年続くといわれる時代。一人一人が、新しい時間をいかに充実したものにしていくか。現段階の回答がXシリーズ」(齋藤社長)。新4K衛星放送はこれからの普及に期待するところがあるかもしれませんが、700gを切った世界最軽量のUH-Xはいま注目したい一品。実際手にとってみても模型かと驚くほどの軽さなので、ぜひ一度店頭などで触ってみることをおすすめします。

  • Xシリーズを発表する、富士通クライアントコンピューティング代表取締役社長の齋藤邦彰氏