キヤノンは、日産スタジアムで27日に開催されたニュージーランド代表とオーストラリア代表による伝統のラグビー決戦「ブレディスローカップ2018」において、高精細8K映像のライブ上映をはじめスタジアム内でのネットワークカメラやAIを用いた広域セキュリティなど複数の実証実験を実施。スタジアム映像ソリューション実用化に向けた技術開発を加速させている。

ニュージーランドラグビー協会のオールブラックスの<a href="https://jp.allblacks.com/" target="_blank">Webページ</a>

ニュージーランドラグビー協会のオールブラックスのWebページ

同社がスポンサーとして特別協賛した「ブレディスローカップ2018」では、ニュージーランド代表のオールブラックスがオーストラリア代表ワラビーズを下し、1931年から続くという伝統ある闘いを制した。長きにわたり圧倒的な強さを誇るAll Blacks(オールブラックス)は試合前に気合いがみなぎる"ハカ"を舞うことでも知られるが、画面から伝わるこの迫力はいつ見てもすさまじい。ニュージーランドラグビー協会の公式サイトには、このハカの解説も掲載されている。オールブラックスも披露する"カ・マテ"はナティ・トア族の首長テ・ラウパラハ氏が1820年に作ったもので紛争時の敵襲から機転を利かせ生き延びた男と博識な導師を称えている。現在では、All Blacks独自のハカであるカパ・オ・パンゴも誕生しており、大地とニュージーランド、情熱とパワーがテーマになっている。

そんな伝統と魅力溢れるラグビーの世界だが、キヤノンは27日の日産スタジアムでは全く新しい迫力あるスポーツの楽しみ方を実証実験で行った。4K映像ですらその美しさや迫力に没入してしまうが、細部まで再現する高精細8K映像のライブ上映だ。キヤノンの8Kカメラに魚眼レンズを装着した広視野で撮影された映像をリアルタイムに変換し、キヤノン本社に設置された複数台の4Kプロジェクターで投影、パートナー企業との協力によるスイッチングに合わせた立体音響も重なり、スタジアムの観客席やフィールドのピッチサイドにいるような臨場感を実現している。

  • 同社での臨場感映像ライブ上映の様子(同社資料より)

    同社での臨場感映像ライブ上映の様子(同社資料より)

スタジアムの柱に設置している同社の撮影カメラ(同社資料より)

スタジアムの柱に設置している同社の撮影カメラ(同社資料より)

スタジアムを囲むように配置された高解像カメラからは、フィールド内に入り込んで選手と同じ視点を体験、フィールドやスタジアム内を自在に飛び回る"自由視点映像"の生成を行っている。圧倒的な情報量を持つことになる自由視点映像では、同じシーンを自由なアングルで見るなどユーザーそれぞれの深い視点でのスポーツの楽しみ方も可能になる。なお、この自由視点映像は、10月31日より大会のホストブロードキャスターであるジェイ・スポーツとの協力により「J SPORTSオンデマンド」で配信される。

セキュリティ面では、ネットワークカメラ映像から事前登録した人物を顔認証でリアルタイム検出。スタジアム内の入場、行動ルートを把握する実験も行っている。暗い場所や逆光など悪条件のカメラ設置環境でも高精度に検出することに成功しており、同社の光学技術や映像処理技術搭載カメラがこれに寄与しているそうだ。ほかにもスタジアム内の広場や売店など群衆人数のAI技術活用のリアルタイムカウントなど多くの実証実験を「ブレディスローカップ2018」で敢行している。

映像の技術進化は、人々に感動を与え、また産業の活性化をもたらす。同社は、スポーツやエンターテインメントなどのイベントにおいて、新たな楽しみ方の提案や安心・安全な環境の創出など同社技術を使って今後もスタジアム映像ソリューションの実用化に向けて邁進することを述べている。