富士通は10月5日、次世代バンキングソリューション「FUJITSU Banking as a Service(FBaaS)」の開発に着手したと発表した。デジタルバンキングの中核システムを業務単位で提供する国内初のクラウドサービスとして2020年の提供を予定している。

同社では、2016年3月に金融ソリューションを「Finplex(フィンプレックス)」として体系化し、金融サービスを支えるデジタルバンキングソリューションをAPIでつなぐ「Finplexサービス統合基盤FrontSHIP(FrontSHIP)」、スマートフォンやタブレットで銀行の業務処理を行う「FinplexデジタルチャネルサービスDigital Branch(Digital Branch)」、個人データの管理と活用を行う「FUJITSU Data Bank」、FBaaSの4領域に体系化し、すでに「FrontSHIP」と「Digital Branch」の提供を順次開始している。今後2020年までに「FUJITSU Data Bank」およびFBaaSの提供を順次予定している。

  • 富士通のデジタルバンキングソリューションの概要

    富士通のデジタルバンキングソリューションの概要

FBaaSは、デジタルバンキングの中核システムを預金・決済や貯蓄、ローンなどの各業務単位でマイクロサービス化し、クラウドサービスとして提供。各業務システムはクラウド基盤上で疎結合できるため、必要なクラウドサービスを選択し組み合わせることで、容易かつ迅速に業務システムを構築できるという。ユーザーの新たな金融サービス創出における生産性の向上を図り、同社推定で従来比2倍のスピードで新たな金融サービスの提供を可能にすることを目指す。

また、クラウドサービスとして顧客管理や預金・決済などのコア機能と、外貨やローンなどのオプション機能を提供するため、必要に応じて柔軟かつ容易にシステムの拡張を可能としている。また、ユーザー固有のサービスについても、アジャイル開発やDevOpsなどを用いてスピーディーに開発し、柔軟にシステムへ追加することができるという。将来的には、ユーザーが開発した個別の業務システムも含めてクラウドサービスとして他社に外販できるエコシステムに発展させていく予定。

さらに、サービスを内部API化することで、再利用性の向上とデバイスフリーを実現するほか、サービス化した機能を呼び出すことで、外部システムと連携する。

加えて、業務単位でマイクロサービス化することで保守範囲を最小化しシステム品質の向上が可能としており、同社の「FUJITSU Cloud Service」上で運用し、海外拠点を含む複数のデータセンターから柔軟に選択できるため、災害対策を備えたセキュアかつ高信頼なディザスタリカバリー環境で運用でできるという。

まずは、ネット専業銀行や新規参入企業などに展開し、FBaaSを含むデジタルバンキングソリューションをメガバンクや地域金融機関に提供していく方針だ。なお、同ソリューションはソニー銀行がファーストユーザーとして採用に向けて検討を開始している。