Symphony Japanは9月20日、都内で記者会見を開き、統合型メッセージング、ファイル共有・オーディオ/ビデオ会議・画面共有およびワークフローを自動化する機能を搭載したコラボレーションプラットフォームの日本語版を同月末に提供開始すると発表した。

  • 日本語版のUI

    日本語版のUI

米国本社であるSymphony Communications Servicesは、2014年に世界の大手金融機関の共同出資により設立。

現在、出資企業はバンク・オブ・アメリカ、HSBC、ブラックロック、ジェフリーズ、バークレイズ、J.P.モルガン、BNPパリバ、レイクスター、BNYメロン、マーベリック、BPIフランス、メラス・キャピタル、シタデル、モルガン・スタンレー、シティ、ナティクシス、クレディ・スイス、野村ホールディングス、ドイツ銀行、ソシエテ・ジェネラル、ゴールドマン・サックス、UBS、グーグル、ウェルズ・ファーゴとなり、グローバルにおける登録企業者数は340社、ユーザーは35万人以上に達している。

同プラットフォームはクラウド型で金融機関への導入実績を持ち、メッセンジャー機能に文書共有や画面共有、音声・ビデオ会議が統合されており、生産性の向上が図れる。また、社内外の登録ユーザー、チームやコミュニティとコラボレーションを可能とし、セキュリティを担保するほか、アプリソフトウェアインテグレーションやボットなど、快適なユーザーエクスペリエンスを提供するという。

  • プラットフォームの概要

    プラットフォームの概要

Symphony Communicaion Services 北アジア地域ジェネラルマネージャーのクイニー・チャン氏は「近年、企業は情報漏えいリスク、ソーシャル化(チャットの導入など)、分散化(リモートワーク)、デジタル化、自動化により、エンタプライズコラボレーションに変化が生じている」と指摘。

  • Symphony Communicaion Services 北アジア地域ジェネラルマネージャーのクイニー・チャン氏

    Symphony Communicaion Services 北アジア地域ジェネラルマネージャーのクイニー・チャン氏

セキュリティが強みのコラボレーションプラットフォーム

このような状況の変化に同社のプラットフォームは対応を可能としている。まずは情報リスクに関して。チャン氏は「すべての暗号化技術が同じように機能するわけではなく、データはクラウドの中で何度も復号化されており、大容量データストレージはクラウドでターゲットになりやすいほか、暗号化鍵の持ち込みでは不十分だ」との認識を示す。

そこで、同社のプラットフォームでは、エンドツーエンドの暗号化を可能としており、暗号化鍵は自社で保有(オンプレミス)し、コンテンツを送信およびアップロードした時点で暗号化を実施。また、受信予定者に情報が届くまで復号化せずに、スマートフォンやエンタープライズHSM(専用暗号化プロセッサ)など、物理的で独占的な暗号化鍵を管理でき、漏えいした場合でも暗号化されているため情報を使用することは不可能だという。

  • 情報漏えいに対するアプローチ

    情報漏えいに対するアプローチ

ソーシャル化については、ダイレクトチャット(ダイレクトメッセージ)、チャットルーム(チャンネル)、通知機能を備え、分散化ではデバイスを問わず統合された音声・ビデオ・画面共有機能、25社を上限とした他社間チャットルームなどを提供している。

  • ソーシャル化に対するアプローチ

    ソーシャル化に対するアプローチ

デジタル化と自動化に関しては、チャットボットで生産性を向上させるという。登録ユーザーは、プラットフォーム上でソフトウェアアプリの起動や、データの引き出しを容易とするチャットボットをAPI経由で組み込むことを可能としている。

例えば、プラットフォーム上で自社が所有するアナリティクスデータのクエリを返すボットを利用することで、正確な判断を下すことができる。さらに、チャット内でトレード情報をプッシュするボットを活用することでトレーディング業務の効率化を図れるなど、セールス&トレーディング、リサーチ、業務プロセス・オートメーションなどが利用されているという。

  • デジタル化と自動化に対するアプローチ

    デジタル化と自動化に対するアプローチ

Symphony Japan ヴァイスプレジデント セールスエンジニアリングの上原玄之氏は「すでにチャットボットはグローバルで600以上があり、多様な可能性があり、顧客は業務の効率化を図っている。また、セールスフォース、JIRA、GitHubなどのエンタープライズアプリと連携を可能とし、オープンソースのボットコードの活用や自社で開発できる」と、メリットについて説明した。

  • Symphony Japan ヴァイスプレジデント セールスエンジニアリングの上原玄之氏

    Symphony Japan ヴァイスプレジデント セールスエンジニアリングの上原玄之氏

日本法人では「国際金融経済都市・東京」を目指す東京都の施策「Invest Tokyo」プログラムおよび経済特区に参画し、資産運用業務の効率化による生産性向上をサポートする国際資産運用センター推進機構(JIAM)のFinTech Squareの一員となっている。加えて、Fintech協会への参加しており、パートナー企業を通じて日本市場に見合ったコンテンツを提供し、ワークフローの簡素化を実現するなど、日本におけるコミュニティを形成している。

昨今ではSlackをはじめ、企業向けのコミュニケーションプラットフォームはあまた存在する。セキュリティに優位性を持ち、金融機関への導入実績を持つ同社の今後の動向が注目される。