これまでのプリンタ市場は、「インクカートリッジの売り上げで利益を出す」というビジネスモデルが一般的でした。今回、ブラザーがインク交換の頻度を激減させる新製品を発表した狙いは、どのあたりにあるのでしょうか。

発表会で登壇したブラザー販売 代表取締役社長の三島勉氏は、販売台数ベースにおいてインクジェットプリンタ/複合機の市場が縮小しつつある現状を説明した上で、「年賀状の減少もあり、家庭用モデルの販売は縮小傾向。一方でビジネス利用の多いA3対応機の販売は安定傾向にあります」と分析。

  • ブラザー販売 代表取締役社長の三島勉氏は「これからのインクジェットプリンターは、大容量タンクの時代になる」と説明

  • 大容量インクジェットの市場規模は、2016年度から約3倍も伸びています

一方で、大容量インクジェットプリンタ/複合機は「ランニングコストが改善できる」「インク交換頻度を減らせる」といった特徴によって、個人と法人の双方から「総合満足度」「使い勝手」など多くの項目で高評価を得たとのこと(ブラザー調べ)。こうした背景から、ブラザーでは今後、家庭利用・ビジネス利用の両方で大容量インクジェットプリンタ/複合機の販売を強化し、市場シェアを獲得していく考えです。

目標販売台数は?

マーケティング推進部長の伊藤英雄氏からは、新製品の詳細について紹介がありました。最大の特徴である、超大容量インクカートリッジの説明は記事の冒頭で述べた通り。ファーストタンクの5モデルでは、初めての人にも使いやすいよう、前面インク交換、前面給紙(最大150枚)、ADFで読み取りかんたん、といった機能も用意されています。

  • 本体前面のパネルを開くとインクが交換できる仕様。手間がかかりません

  • A4モデルのMFC-J1500N、DCP-J988Nでは、前面のトレイに最大150枚の普通紙をセットできます

また、1枚目の印刷時間を、従来機種の約14秒から約8.5秒に改善。印刷頻度が高い環境で重要な、ファーストプリントのスピードを高速化しました。このほか、最長3年の保証サービスを用意しています。

  • 新製品の特徴について説明する、マーケティング推進部長の伊藤英雄氏

  • ファーストプリントが約5秒も速くなるなど、基本性能も向上しています

ブラザー販売では、2018年度インクジェットプリンタの目標販売台数を全ラインナップで約42万台に設定。ビジネス利用を想定したA3モデルのみならず、A4モデルについてもSOHO、店舗といったスモールビジネスに向けて販売していくと説明していました。

  • 発表会の後半では、ブラザーのイメージキャラクター、小島瑠璃子さんと、超大容量インクカートリッジを持った児嶋一哉さん(アンジャッシュ)がトークセッションを行いました