=LINEと福岡を拠点とする同社子会社のLINE Fukuokaは8月23日、福岡市と地域共働事業に関する包括連携協定を締結したと発表した。

今回の協定締結により、AIやFintechなどの先端技術を利用した未来志向のまちづくり事業に取り組む。

これまで両者は2016年に「情報発信強化に関する連携協定」を締結し、2017年に開設した福岡市LINE公式アカウントの友だち数は現在34万人を越えており、情報発信強化の分野以外でも2018年6月には「福岡市実証実験フルサポート事業」の「キャッシュレス」に関するプロジェクトでLINEとLINE Fukuokaを含むLINEグループを採択するなど、複数のプロジェクトを進めている。

今回、連携を発展させ、情報発信に限らず互いの資源や魅力を生かし、AIやFintechなどの先端技術を利用した、より豊かで便利な未来志向のまちづくり事業に共働して取り組むため、新たに包括的な連携協定を結ぶことになった。協定の期間は締結の日から2019年3月31日までであり、解約の意思表示がない場合は自動的に1年延長する。

同協定で行う共働事業としてLINEは、1)福岡市の情報発信の充実強化に関すること、2)福岡市における行政サービスの効率化,充実強化及び課題解決に関すること、3)福岡市内における消費購買活動の活性化に関すること、4)福岡市内に事務所または事業所を持つ法人への活動支援及び高度技術人材育成に関すること、5)福岡市における防災及び災害対策に関すること、6)福岡市におけるICT分野の教育・啓発に関すること、7)これらのほか、福岡市の活性化および市民サービスの向上に関することの7点を挙げている。

AIやFintechなどの技術を組み合わせた取り組みの例としては、消費購買活動の活性化および行政サービスの効率化、市民サービスの向上の2点。

消費購買活動の活性化に関しては、屋台、スポーツ施設、文化施設など、福岡市の多様な場所でのトライアル事業を検討していく。その第1弾として、行列に並ぶ必要なくスムーズに屋台での食事を楽しむ「屋台での新しい体験」がコンセプトの「Mirai 屋台」に取り組む。

これは、専用のLINEアカウント上でAIチャットボットによる屋台のレコメンド、空席情報の確認や座席の順番待ち、LINE Payでのキャッシュレス決済、インバウンドのニーズに応える多言語表示などに関する期間限定のトライアルの提供を予定している。

行政サービスの効率化と市民サービスの向上については、AIチャットボットによる粗大ごみ収集の申込み実証実験に対応したLINEアカウントを9月中に提供を予定。LINE上に表示する粗大ごみの種類や収集希望日を選択することで、約1分程度で申込みを完了でき、LINEのアカウント上から粗大ごみ収集の申込み完了が可能な仕組みの導入は、全国の自治体で福岡市が初だという。これらの実証実験を進める中で、キャッシュレス決済への対応も検討を進めていく。

そのほか、福岡市LINE公式アカウントにおける市政情報の発信を引き続き行う。福岡国際映画祭でのLINE Pay試験導入などの消費購買活動の活性化、福岡市にある官民共働型スタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next」とLINEの共催による技術者支援講座を通した市内企業の活動支援及び高度技術人材育成、福岡市LINE公式アカウントにおける防災情報の発信といった防災・災害対策、小中学生に向けたICT分野の教育・啓発活動など、福岡市の一層の活性化および市民サービスの向上に取り組む。