1970~80年頃から、ファクトリーオートメーションが加速した。ファクトリーオートメーションは、ICに組み込まれたプログラムで産業用ロボットなどを制御。作業効率を向上させ、人間の労働力を軽減させるものだ。
人間から労働機会を奪うという批判もあるが、工場での人間の安全性を向上させるというメリットもある。特に2000年以降、IoTやAIの進化により、ファクトリーオートメーションがますます浸透してきた。ただ、ファクトリーオートメーションだけでは、どうにもならない分野もある。意外と思うかもしれないが、大小便器や洗面台といった衛生陶器がそれにあたる。
そこで、衛生陶器で圧倒的な国内シェアを誇るTOTOの工場を見学してきた。ちなみにTOTOは創設から100年が経つ企業で、日本ガイシやノリタケカンパニーリミテドなどと同じ森村グループの企業だ。
さて、滋賀県などにも生産拠点があるが、原点ともいえるのは福岡県・北九州市・小倉で、1917年に創立した同社の象徴的な場所といえる。門司港に近く、アジア地域への輸出がしやすいこと、原材料の産地が近いことなどからこの地が選ばれた。
広大な敷地を持つ小倉工場
まず正門をくぐってから、製品づくりを行っている建家まで結構な距離がある。正直、炎天下の中、この距離を歩くのは大変だなと思った。仮に猛暑の日に遅刻しそうなときに走ったら、筆者ならあきらめてしまいそうだ。
ところが、工場内に入ってみると、従業員には杞憂なのかなと思った。というのも、工場内は高温・多湿な環境が多かったからだ。これは、陶器を焼く窯、および乾燥室などの影響だという。こうした場所で作業しているスタッフならば、屋外の暑さなど問題にならないかもしれない。