ではなぜ、こうしたサービスを開始したのか。それは、首都圏の宿泊事情にある。仮に地方から東京へ急な出張があった際、ホテルがとれない場合がある。2017年、約2,900万人にものぼったインバンド観光客が訪日した。旺盛な彼らの宿泊意欲により、ホテルが満室になっていることが多い。

ところがワークスタイリングSTAYは、契約企業のみが利用できるサービス。海外からの観光客は基本的に利用できないので、急な出張時に宿泊施設を確保しやすい。

用意される部屋は3タイプ。ロフト型の部屋はベッドがロフト、その下がワークスペースになっており、L字型のデスクなので、広いスペースが活用できる。フラット型はベッドのすぐそばにデスクがあり、ベッドとデスクをシームレスに行き来できる。ベッド型は、眠る場所のみ用意されたスペース。仕事をする際は、共用ワークスペースに移動するので、オンとオフをきっちりと分けられる。

  • 左上:エンタランスのカウンター。右上:ロフト型の部屋。左下:フラと型の部屋。右下:ベッド型

さらに共用ワークスペースでは、複数人での打ち合わせが可能で、複合機や書類の溶解ボックスも用意されている。

  • 左上:ワークスペースの一部。右上:複合機や溶解ボックスを用意。左下:シャワーのほか浴場もある。右下:レッグマッサージやアイマッサージといった備品

新幹線や羽田空港にアクセスしやすい立地

三井不動産が想定する利用シーンは以下の4つ。「泊まれるワークスペースとしての活用」「海外出張から朝便で帰国した際の一時リフレッシュ」「宿泊型の研修や会議での利用」「ワークに集中したい個人へのスペース提供」といったところだ。このほかにも、翌日早朝の新幹線や飛行機を利用する際、前泊のためにこの施設を使うということも考えられる。

今回オープンするワークスタイリングSTAY 汐留イタリア街は、東京駅や品川駅へアクセスしやすく、新幹線の利用に便利だ。さらに浜松町駅も近いので、羽田空港へのアクセスもしやすい。まさに、ビジネスパーソンにピッタリの場所といえる。

このワークスタイリングSTAYに限らず、ザ・ミレニアルズといったビジネスに特化した宿泊施設が増えている。このネットワーク時代に「テレビ電話とかではNGなの?」という声も聞こえてきそうだが、さまざまな企業を取材していると、フェイス・トゥ・フェイスに回帰しているような印象を受ける。ネットで出張先とやりとりするのではなく、顔をつきあわせてのビジネスがやはり重要なのだ。そうした意味でも、ビジネスパーソン向けの宿泊施設は増えていくことだろう。