スマートウォッチやスマートグラス、スマートTシャツなど、身に付けて使うウェアラブルデバイスがいろいろ登場していますが、目に直接着けられるコンタクトレンズ型のウェアラブルデバイスの実用化がいよいよ近付いているようです。
スマートコンタクトレンズと呼ばれるコンタクトレンズ型ウェアラブルデバイスは、2014年1月にGoogleが開発プロジェクトを発表してから注目を集め、すでに試作品も発表されています。他にもサムスンやソニーから、各種センサーやカメラを内蔵したスマートコンタクトレンズの関連特許が申請されていて、実用化が待ち望まれています。
2020年に登場!? センサー搭載のコンタクトレンズ
国内では、眼科医療機器開発ベンチャーのユニバーサルビューがスマートコンタクトレンズの開発に取り組んでおり、先日、東京ビッグサイトで開催されたデジタルヘルス関連の展示会「メドテック・ジャパン」でプロトタイプの展示を行っていました。
同社で取り組んでいるのはスマートコンタクトレンズのハードウェアにあたる部分で、2020年の実用化を目指した開発マイルストーンを発表しています。ソフトコンタクトレンズの内側にセンサーや給電部品を埋め込んだ丸いフレームを挟み込むという仕様で、電子回路の接続には電導インクが使われ、NFC方式か直流共鳴方式のいずれかでワイヤレス充電できる仕組みになっています。
健康状態をチェックするバイオセンサーに活用
展示されていたプロトタイプは実際より倍のサイズですが、スマートコンタクトレンズを動かすのに必要なマイコンやBluetoothなどを搭載する制御回路と、それらを動かす給電ユニットが動くようになっていて、スマートフォンにも接続できるということです。さらに現在は量産化に向けて、サイズの小型化や目に入れても問題ない素材の開発、安全性の検証などを行っており、装着した時の安定性などもあわせて検証される予定です。また、同社では用途の想定をあえてせず、プラットフォームとしてソフトウェアやサービスの実装を支援するというスタンスで、ハードウェア部分の開発に集中するとしています。
スマートコンタクトレンズの用途はいくつか考えられますが、実用化が進んでいるのがGoogleなどが進めている、涙に含まれる成分から血糖値を計測するといったバイオセンサーとしての活用です。サムスンやソニーが目指しているカメラ機能を搭載して、周囲を撮影したりAR技術を使って目に様々な情報を重ねて見せるという技術は、機器の小型化が難しいことや、Google Glassが登場した時に問題になったプライバシーへの配慮といった社会的課題もまだ残っていることからもう少し先の話になりそうだからです。
また、涙に含まれるさまざまな成分をどうやってセンシングするかという研究も、医療を専門分野とするアメリカの大学で進められているので、スマートコンタクトレンズが実用化する頃には実装可能になっているかもしれません。