ソフトバンクの上場準備開始を機に、ソフトバンク全体の戦略が明確になった。海外はソフトバンクグループ(SBG)が担い、国内はソフトバンクが一翼を担う。ソフトバンクは「Beyond Carrier(ビヨンド・キャリア)」というテーマも加えつつ国内ビジネスを展開していく。
ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先
SBGは国内通信事業のほか、米スプリントやARMといった様々な事業を束ねる持株会社。今、一番の注目事業がソフトバンク・ビジョン・ファンドを主体にした投資事業だ。
同ファンドは10兆円規模の資金力を誇る世界際最大のファンド。すでに26社に投資をしており、NVIDIAといった著名企業もありながらも、非上場企業で資産規模の大きいユニコーンが多い。
投資先の事業を見ると気づくのが、配車サービス、不動産売買などの既存事業にITの力を加えて何らかの新たな価値を提供していることだ。不動産や配車はITの力を駆使したマッチングプラットフォームの提供ということになるだろう。
ソフトバンクとヤフーの役割
これらの投資先企業は現在、海外で事業展開をしているが、今後はもちろん日本も対象となる。その際の受け皿となるのが、ソフトバンクであり、ヤフーになるわけだ。ソフトバンクには通信企業をこえた「Beyond Carrier」というテーマが新たに加わり、ユニコーン企業との合弁会社を設立(ヤフーも担当)、国内市場を開拓していこうとしている。
合弁事業という点では、実はすでに動き出しているものがある。コワーキングスペースを提供するWeWorkだ。その日本法人WeWork Japanの設立にあたり、ソフトバンクも出資。日本での展開を図っていくことを昨年7月に発表し、今年に入って本格稼動を始めている。
通信以外の事業が豊富に?
国内全体のモバイル通信ビジネスでは、NTTドコモもKDDIも通信以外に力を入れている。正直なところ、ソフトバンクが非通信分野において取組みが遅れているように見えたが、今回の戦略提示で見方は変わりそうだ。
ドコモやKDDIのように契約者向けのサービスが拡充されるかどうかは不明なものの、今回の戦略によって、ソフトバンクの事業の多様化は間違いない。ソフトバンクの事業の広がりを見ていくうえでも、今後はソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先は気になるところだ。