仮想通貨に対してまだ不安を抱いている人もいると思いますが、そのあたりの取り組みについて教えてください。

SBIバーチャル・カレンシーズ(SBIVC)代表取締役社長の齋藤亮氏

齋藤氏:当社ではSBIグループの証券や銀行と同等のセキュリティレベルを設けており、仮想通貨交換業の経験者だけではなく、金融サービスに携わってきた人間がセキュリティ対策を講じています。

通常のセキュリティ対策と異なる点としては、送り先のアドレスを間違えてしまえばそれっきり戻ってこない点が挙げられるでしょう。これまでは外部からの脅威を防ぐだけでよかったのですが、内部の不正を想定したオペレーションの業務設計や、ウォレットの承認フローといった内部管理体制の構築を徹底しました。

ただ、まずは利用する人も、仮想通貨がどういうものなのか実際に触ってみることが大切だと思います。各業者がどういう管理体制でやっているのかアンテナを張り、どのような盗難方法が存在し、それを防ぐためにはどのような管理が必要なのか、自分なりの方法を探してみてほしいですね。

95年ごろのインターネット黎明期にも、ハッキングなどの不正が多くありましたが、すぐにセキュアな通信が整備され、今日のようなインターネット環境が実現しました。ただし、それだけではなく、セキュリティソフトを自分のパソコンへインストールする必要があるように、仮想通貨の盗難に対しても自身で一定の防御策を知る必要があるというわけです。

2018年以降、仮想通貨はどのように普及していくと思いますか?

齋藤氏:2018年は本当に仮想通貨が価値移転インフラとして、既存インフラをアップデートできるのか試される年になると思います。現状、仮想通貨のユースケースはどうしても投機的な売買に限られているため、そこに注目が集まっていますが、もし今後も投機的側面だけが取り沙汰されて、新しいフェーズへ移行できないのであれば、おそらく見限られてしまうでしょう。

フェーズの移行を2018年中に実現することは難しいかもしれませんが、3年ないし5年以内にはやらなければならないと考えています。コミュニティベースの価値移転インフラを代替、もしくは新たな付加価値を提案できないのであれば、投機的なまま終わってしまうはずです。

仮想通貨に限らず、新たな技術革新は常日頃から起こっています。しかし、それを使うのはコミットした人間。どんなにすばらしい技術でも、どう使うか、どう日常生活がよくなっていくのか伝えなければ、技術自体が優れていても浸透しないでしょう。仮想通貨という新たなインベントリについて、どのようにユースケースを広めていくか、SBIVCないし、SBIグループのシナジーを発揮して実現していきたいと考えています。