• iPod classic

    いまだ多くのファンが愛して止まない銘機「iPod classic」

お気に入りのCDをパソコンに取り込んで、データファイルにして外出先で楽しむ。2000年代に一気にデジタル化が進んだポータブルオーディオのカルチャーを引っ張ってきたのは、紛れもなくAppleの「iPod」でした。バリエーションも小型のiPod miniやiPod nano、スポーツシーンにも適したiPod shuffleなどと数多く、Appleが発売したiPodは全部買うぐらいの勢いで愛したファンも少なくないはず。

そして、多くのiPodファンにとって一番思い入れの強いモデルは、始祖のiPodをベースにした「iPod classicシリーズ」ではないでしょうか。iPod classicは2014年秋に惜しまれながら生産を完了してしまいましたが、今でも熱心なユーザーを多く持つプレーヤーです。

どうして、あんなに好きになったんだろう……

あの頃の私たちは皆、いったいiPod classicのどこにこれほど惹きつけられたのでしょうか?

これは筆者の勝手な私見かもしれませんが、最大160GBという、当時は型破りだったストレージサイズに男のロマンをくすぐられた人も多くいたと思います。筆者もその一人です。

iTunesを使ってせっせと取り込んできたCD音源が残らずiPodに入る。しかもMP3より、もっと高音質なAppleロスレスやWAV形式で取り込んだファイルもらくらく大容量のHDDに転送して"いい音"で楽しめる。かつての筆者の同僚には、iPod classicに魅了された結果、手持ちのCDを全てWAV形式で取り込み、複数のiPod classicに入れて持ち歩いている猛者もいました。

2012年の秋にLightning端子を搭載したiPhone 5が登場するまで、iPodシリーズには30ピン Dock端子が採用されていました。Lightning端子よりも幅が広く、iPodを装着した時の安定感も高いため、かつては「iPod対応ドックスピーカー」が多くのオーディオブランドから発売されていたものです。今はBluetoothによるワイヤレスリスニングが台頭してきたこともあって、ドッキングスタイルのスピーカーは流行らなくなってしまいましたが、iPodのバッテリー切れを気にせず充電しながら音楽が聴けるので、筆者にとってはお気に入りのリスニングスタイルでした。

  • iPod classic

    iPod本体と同じぐらい予備の確保に力を入れておきたい「30ピン Dock端子ケーブル」

そして、何よりも「クリックホイール」ならではの軽快な操作感。冬も手袋を着けたまま操作できるのがスマホと比べた時の強みです。

ところが、デジタル機器の世界では"数年ひと昔"も当たり前。iPodシリーズは今も「iPod touch」が健在であるものの、電話に音楽再生、写真撮影から友だちとのLINEまで……と1台で何でもこなせる「iPhone」に音楽プレーヤーとしてのポジションを譲ろうとしています。

そんな中、iPod classicのユーザーにとって大きな悩み事は、故障の不安が常に付きまとうことではないでしょうか。「iPod」が「iPod classic」に名前が変わってから、すでに10年近い月日が流れています。愛用するiPod classicに何らかのトラブルが起きても不思議はありません。

もしも明日、あなたのiPod classicが動かなくなってしまったらどうしますか? それでも「一途にiPodを使い続ける」ためにできること、あるいはこの機会に「iPodによく似た誰かに出会うこと」。転ばぬ先の杖を用意しておくことも肝要です。ふたつの選択肢について、せっかくなので真剣に向き合ってみましょう。