ハフ氏はまた、「インバウンド需要」と「割り勘負け」もキーワードに挙げる。
焼酎や日本酒を飲むことは訪日外国人の目的の一つとなっているものの、いずれも度数がそれなりに高く、万人に受け入れられるわけではない。そこでソフトドリンクと掛け合わせて口当たりを良くすることで、「ミックスドリンクが(日本の)食文化を知るきっかけになる」(ハフ氏)と話す。
また、2015年頃からイギリスを中心に流行しているモクテル(モック+カクテル、ノンアルコールカクテルのこと)を参考に、ソフトドリンクの力を最大限に活かす戦略によって、高単価商品のラインナップを増やせる魅力をアピール。「これまでアルコールが得意でない人たちはウーロン茶を無理に何杯も飲んでいたはず(笑)。みんなが楽しめる場になることは大きい」(ハフ氏)と話した。
ぐるなびとの協力では、「一日最大1万店舗と直接コミュニケーションしている」(ぐるなび・高橋氏)という接点を最大限に利用。すでにミックスドリンクメニューの試験導入を全国100店舗で進め、モニタリングしてきた。その成功事例は、月間8万部の「ぐるなび通信」で加盟店舗に発信するほか、「ぐるなび戦略共有会議」でセミナーも実施する。
ぐるなび側のメリットが薄いようにも見えるこの取り組みだが、同社の高橋氏は「Web集客をはじめ店舗をサポートしてきた中で、収益改善も重要な使命。その一つの手段としてビバレージマネジメントを提案することで、継続的に収益を上げてもらい、長くお付き合いできれば」と話す。
コカ・コーラはプログラムを通じ、飲食店60万店舗(同社推計)のうち、"非コカ・コーラ"の30万店舗を狙うという。ハフ氏は「既存店の底上げも考えている」と話すが、アルコール飲料を持たない同社の売上のうち、外食産業向けが占める割合は約1割に過ぎない。「アルコール離れ」を"非アルコール"のコカ・コーラが止め、売り上げも「居酒屋離れ」から脱却できるか。ハフ氏は一つの鍵に地方の商品メニュー開発を挙げた。
「コカ・コーラは地域密着のボトラーが17社ある。コカ・コーラを背負いながらも地域密着型で地元に根付いた企業だ。松山市と協力し、松山城のお祭りでブース出展し、みかんカクテルのモクテルを出したところ好評だった。こうした地産物の組み合わせによって、誰もがミックスドリンクを楽しめる環境が作れると思う」(ハフ氏)