ビジネス分野においてはPepperの顧客行動データの蓄積と分析用の基盤にMicrosoft Azureを活用する方針であり、Microsoftもロボアプリパートナー with Microsoft Azure認定企業を2018年10月までに30社とすることを目指すなど、ソフトバンクロボティクスと共同でPepperとAzureによるエコシステムを築くべく、コミュニティの活性化に努める方針だ。

このほか、PepperをPOSレジと接続した「レジ for Pepper」やPepperを使ったホテル向けのチャットbotサービス、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の啓発など、Pepperを使った事例が紹介された。このあたりは7月に開催されたソフトバンクワールドでも同様の事例が発表されていたが、ロボットを使うことでアンケートに回答する際の心理的な障壁が下がるのか、対人向けの情報収拾にPepperは向いているようだ。こうした事例は今後、ロボットを導入してみようという企業にとってのヒントになるだろう。

商品をPepperに見せていくとQRコードが生成され、それをレジにかざすことで支払いが行える。店番と決算をPepperが行ってくれるというわけだ

多国語対応チャットbotシステムの「tripla」。すでにホテルなどで導入されており、1件あたり約250円と、従来比約3分の1程度の低コスト化に貢献している

疾病啓発はPepperが強い医療分野では健康チェックなどにPepperのコミュニケーション能力が活用されているようだ

Pepperは発表当初こそもてはやされたが、最近は店頭の片隅でメンテもされずに佇んでいるのを見かけることも多かった。しかしPepper for Bizや各種アプリケーションの登場により、着実にビジネス用のツールとして活用方法を見出したところが増えているようだ。

なお、Pepperには発売以来、ハードウェア的には基本的に変更が加えられていない。耐久性向上などの微細な改良は行われているものの、頭脳部などは大きく変わっていない。ソフトウェアの改良によって利用範囲や実用度が高まるのはPepperの長所だが、センサー類や移動機構などは日進月歩で進んでいる。話題作りの意味も含め、そろそろ次世代機に関する情報が登場してほしいところだ。