ASUSの「ZenFone 4」は、2016年にSIMフリー市場でヒット端末となった「ZenFone 3」の後継機種。デュアルカメラを採用するなど、前モデルに比べて特にカメラに注力したモデルになっている。今回端末を試用する機会を得たので、作例や個人的な感想も交えてレビューしてみたい。

まずは外観から。「ZenFone」シリーズは前モデルの「ZenFone 3」で大きく見た目を変え、それまでのラウンド状の樹脂カバーだった背面は、フラットなガラスの一枚板へと変更された。「ZenFone 4」も引き続き、背面にはフラットなガラスを採用。エッジ部分には、丸みを持たせる2.5D加工がされている。

ディスプレイは5.5インチフルHDのIPS液晶を採用。輝度が高く、晴天下でも見やすい。チップセットはSnapdragon 660で、内蔵ストレージは64GB、メインメモリは余裕の6GBだ

カラーは写真のミッドナイトブラックのほか、ムーンライトホワイトの2色。グローバルでは明るいミントグリーンも発表されているが、国内は2色だけになってしまったのが残念だ

一方で前モデルでは背面にあった指紋センサーが、前面に移動した。戻る、ホーム、履歴のナビゲージョンも、タッチ操作時のみ光る仕様になった。良く言えばトレンドのすっきりシンプルなスリムデザインだが、"これぞZenFone"と言える特徴が、背面ガラス下に施された同心円状のヘアライン加工くらいになってしまったのがちょっと寂しい。とはいえ質感はとても良く、ケースなしで使いたくなる高級感のある外観になっている。

サイズは約H155.4mm×W75.2mm×D7.5mm、重さ約165g。5.5インチという画面サイズの割に軽く、持ちやすい。USBはType-Cを採用

SIMスロットはnano SIM×2枚セットできる仕様で、片側がmicroSDと兼用。3Gと4GのDSDSに対応し、au VoLTEもサポートする

デュアルレンズ搭載でカメラが進化

機能面での最大の特徴はデュアルレンズの搭載をはじめとする、進化したカメラ。ASUSは「ZenFone 4」シリーズで、全モデルに異なるデュアルカメラを搭載するというなかなか大胆な施策を打ち出している。

デュアルカメラの出っ張りもなくすっきりした背面。向かって左側のメインカメラにはソニー製のIMX362センサーが採用されている。右側の広角カメラは120度の広角撮影が可能だ

日本では「ZenFone 4」のほか、「ZenFone 4 Pro」「ZenFone 4 Selfie Pro」がリリースされているが、実は3機種とも2眼の構成が異なっている。「ZenFone 4 Pro」は標準と望遠、「ZenFone 4 Selfie Pro」はフロントカメラが2眼。そして「ZenFone 4」は、標準と広角という組み合わせだ。

標準レンズと広角レンズは、動画を除くどの撮影モードでもワンタップで切り替えられる。もう少し広い絵を撮りたいというときに標準の83度から広角の120度へと、さっと構図を変えられるのが便利だ

標準レンズのF値は1.8と明るく、広いAFエリアで高速にピント合わせができるデュアルピクセルAFに対応。つまり、暗いところでもピント合わせが早く、かつ明るく撮れる。シャッターボタンを押してから、シャッターが切れるまでのタイムラグもなく、シャッター音も控えめなので、レストランなどでサッと撮影しやすい。またHDR撮影や4軸光学手ブレ補正にも対応し、逆光気味や不安定な場所など、条件の悪い撮影もそつなくこなせる。

暗い店内で料理を撮影した作例。料理モードはないが、モード切り替えをしなくてもオートできれいに撮影できるので手軽だ

加えてオート撮影時にワンタッチで切り替え可能な「ポートレート」機能も搭載し、背景をぼかして人物を浮き立たせた写真も簡単に撮れる。ただしこのとき、被写体となる人物との距離や周囲の明るさによっては、背景のボケ味が不自然に見えることもあった。

明るい公園で「ポートレート」オフ、オンの両方で撮影した(左がオフ、右がオン)。背景がボケることで人物が浮き立つ

これは他社製のスマートフォンのポートレートモードでも同様だが、ソフトウェア処理の進化に期待するしかなさそうだ。筆者の試した限りでは人物がカメラに比較的近く、やや暗い場所のほうがより自然に、印象的な写真が撮れた。

やや暗い店内で被写体との距離を縮めて撮影すると、背景のボケ味がより自然に見える

「ポートレート」をオフにすれば、雰囲気のあるフィルターを使った撮影も可能。カメラ画面をスライドすると、フィルター一覧が表示され、好みのものを選んで撮影できる

ホワイトバランスやシャッタースピードなどの調整が自在な「Proモード」も用意されている。RAW形式での保存にも対応しているので、PCに取り込んで本格的なレタッチも可能だ