ソフトバンクは10月19日、記者発表会を開催し、RPAホールディングスの「BizRobo!(ビズロボ)」をベースに開発したソフトバンク独自のRPAソリューション「SynchRoid」を11月1日から提供開始すると発表した。
サービス名のSynchRoidとは"シンクロナイズ"と"アンドロイド"を掛け合わせた造語。PCで動作する作業を1度だけシンクロさせることで、アンドロイドが動作を再現することから名づけられた。パソコン上で行う作業であれば、幅広い業務に適用させることができる。直感的な操作が可能なため、IT知識の少ない部門の担当者でも容易に開発が可能だという。
サービスメニューとしてはマニュアル・保守サポートをはじめソフトバンクで作った事例やFAQ、導入支援のワークショップ、開発スキルトレーニング、開発エンジニアを現地への派遣などの提供を11月から開始し、12月からはeラーニングや検定試験を提供していく。
ライセンスは、一度試して効果を検証したいという顧客向けの「ライトパック」と、RPAの本格的な導入を希望する顧客向けの「ベーシックパック」の2つに分かれており、ライトパックは開発者を1人ずつ育成していくタイプで1ライセンス年額90万円、ベーシックタイプは開発者を複数同時に育成するタイプで10ライセンスで月額60万円だ。
ソフトバンク 法人事業統括 プロセスマネジメント本部 副部長 兼 RPA推進室 室長の上永吉聡志氏は「事業展望として、デジタルトランスフォーメーションを進めていくうえで大事な教育の拡充サービス、さらにはRPAを身につけた人間が請け負うBPOサービスとの連携も考えている」と説明。
また、同社ではRPA事業においてRPAの導入を先行しており、実際に労働時間の削減を達成しているという。「152人の開発者を育成し、1289のアイディアが生まれ、358の開発プロジェクトが実施されている。そして、月間で9000時間の削減を達成した。自分自身のスキルによって、多くの単純作業から解放されることは喜ばしい」(上永吉氏)
ソフトバンク 代表取締役副社長 兼 COOの今井康之氏は「多くの企業を訪問して、RPAについての反応が非常に良く、お困りになられているという状態を実感している。RPAホールディングス、RPAテクノロジーズとともに、ロボットのインタフェースを使ってRPA作業をクラウドで行い、AIでデータを蓄積して業務効率を高めていくことで、企業の成長戦略、構造改革をサポートしていきたい」と事業の展望を述べた。
RPAとAIやロボットの連携として、上永吉氏は「例えば、メールで見積もり依頼が届いた場合、AIが内容を解析し、RPAと連携することで自動で解析内容を基に見積書を作成すると、人間が15分ほどかけて行っていたものを約3秒でできるようになる。そのほか、小売店でPepperとRPAを連携させることで、オンラインとオフラインの双方から在庫確認も可能だ」と事例を紹介した。
RPAホールディングス 代表取締役の高橋知道氏は「われわれは10年前からBizRobo! を提供している。当時はRPAという言葉もなく、ロボットといえば工場のオートメーションに用いられる産業用ロボットだった。しかし、ホワイトカラーの現場でも同様の自動化が起こり得ると考えて、10年間RPA事業を展開してきた。今回、最新のテクノロジーで情報革命をけん引してきたソフトバンクと、RPAのリーディングカンパニーであるわれわれが互いの強みを存分に出し合っていくことで、ロボット社会を普及促進をリードしていきたい」と協業の意味を述べた。
また、RPAテクノロジーズ 代表取締役社長の大角暢之氏は「単なるツールの販売ではなく、RPAの活用による新規事業の創造を目指す。RPAを使うことがゴールではなく、RPAをスケールさせ、仕事から意味のない労働をなくしていき自己実現自己表現できるような世界へと進化させていきたい」とビジョンを語った。