そのほかにも意義があったのではないかと思える。

まず、多くの学生がジェンダー平等について真剣に考えたこと。

参加校をみると、大学生はもちろん中学生、高校生の参加もある。特に中学生はジェンダー平等という考え方にあまり馴染みがないはずだ。世界的な課題について、中学生の段階で触れることができたのは大きな意味があったのではないか。

また、国連大学でのプレゼンに参加した学生だけでなく、多くの学生がジェンダー平等について考えたのが容易に想像できる。

というのも、国連大学の舞台に立つことができるのは、各校の予選を勝ち抜いてきたチームだ。つまり、惜しくも予選敗退してしまった学生たちもジェンダー平等について真剣に考えたことになる。夏前だったが、立教女学院の予選を見学させていただいたことがある。数チームが参加していたことを考えると、多くの学生にジェンダー平等について考える機会を与えたにちがいない。

左:お茶の水女子大学、右:郁文館夢学園グローバル高等学校

プレゼン能力を磨く絶好の機会

そしてもう一点、学生たちがチームを組み、議論の場を設けたことに注目したい。ディスカッションして異なる考え方をひとつにまとめあげ、そしてプレゼンに持っていく。これは、アクティブ・ラーニングの基本ともいえることだ。現在、多くの学校でこうした取り組みが行われている。

しかし、見知った顔ばかりの学内でのプレゼンではない。大勢の一般客に向けてプレゼンする機会は、学生たちにはそうそうないだろう。こうした経験は、社会に出た際に、必ず役立つのではないかと思う。

シンポジウム終了後に、プレゼンを行った学生の話を少しうかがえたが、約2カ月かけて準備してきたそうだ。大切な夏休みを消化してしまったかも知れないことを考えると、義務的に準備した生徒もいるのかなと思ったが、学生たちの口から出てきた言葉は「楽しかった!」というものだった。全員に意見を聞けなかったが、目を輝かせている様子をみると、すべての学生がプレゼンを楽しんだにちがいない。

なお、今回のシンポジウムの主催はUN Women 日本事務所と資生堂、後援はお茶の水女子大学、中央大学、名古屋大学、BuzzFeed Japanだ。3月にもHeForSheに関わる取り組みがあったそうだが、その時はPwC Japanグループ、文京区、ユニリーバ・ジャパン、UN Women日本事務所が協力したそうだ。これからも多くの企業がこうした取り組みに関わるだろう。