ハード氏の予言は当たるか?

自身が放った予言については、そのいくつかについて、外部のデータから予言通りになりそうだという見通しを示した。

例えば「企業が所有するデータセンターは80%減る」について、ハード氏は2016年から17年の間にデータセンターの数は15.3%減少しているというIDCの調査を紹介、2025年の予測に照らし合わせると、80%削減という自身の予言はその通りになりそうだとほほえんだ。

また、「運用環境にある80%のアプリがクラウドで動く」についても、The Voice of the Enterprise: Cloud, Workloads and Key Projectsのデータを引き合いに出した。現在、この比率は14%だが、2年後には23%になると予想されており、これを2025年まで応用すると予言通りになる、とする。

「ほぼすべて(100%)の企業のデータがクラウドに」も、2016年から1年の間で年20%増えているというDimensional Researchのデータを紹介した。

このように、ハード氏は自身の予言に自信を見せながら、「成長はリニアに起こるのではない。クラウドへの動きは避けられず、一気に加速するだろう」と、予言をさらに上回る可能性を示唆した。

Oracleとはヘルシーな関係じゃなかった - 顧客のGapが明かす

後半はFedExなど数社の顧客(いずれもOracleのクラウドを導入)が登場し、自社の技術に対する考え方やOracleへの期待を語った。

「Gap」「Banana Republic」など複数のブランドを持つアパレル大手のGapもその1社だ。世界19カ国で展開する同社は、直営ストア3200店、フランチャイズ400店を抱え、洋服のデザインを自社で行い国外に生産をソーシングし、ロジスティク、デリバリーを行っている。

GapのCIO、Paul Chapman氏は自社の強みとして「組織知」を挙げる。例えばフィットネス・スポーツアパレルは、Gap、Old Navy、Atheletaの3ブランドで展開するが、ここでは情報を共有してそのブランドにあった価格ポイント、デザインを実現しているという。「組織知は戦略的な武器だ」とChapman氏。

Gapのジーンズ、Banana Republicのジャケットなど自社製品を着て登場したGAPのCIO Paul Chapman氏

また、売り上げのほとんどが店舗という立場を生かし、顧客とのエンゲージを強めるために店舗でヨガ教室を開くなどの取り組みも明かす。同時に、店舗にいる時も店舗から出た後/来る前も顧客の手の中にあるモバイル戦略も積極的に進めている。

例えば、モバイルでのチェックアウトが可能であるほか、顧客に在庫を見えるようにしたり(「在庫を競争優位に変えている」)、複数のブランドで購入しても1回のチェックアウト体験で購入できたりするなどの仕掛けを用意しているという。追求しているのは「顧客体験」だ。「顧客に素晴らしい製品を届けること」と「ストアとデジタル体験の融合」に平行して取り組んでいる。

Gapの複数のブランドで購入しても、1回のチェックアウトで買い物が完了する

Chapman氏によると、Oracleとは数年来の関係だが、「ヘルシーな関係とは言えなかった」と明かす。約2年前から進めているというOracleのクラウド技術導入で新しいアカウントセールス担当がつき、関係が改善したとChapman氏は明かす。

2社が進めているのは、IntermixブランドにおけるOracle Cloudの導入だ。「Oracle Retail Merchandising Foundation Cloud Service」「Oracle Retail Merchandising Insights Cloud Service」「Oracle Retail Integration Cloud Service」「Oracle Retail Store Inventory Management」など、小売受けソリューションを採用する。Oracle Cloudで100%動く事例は、リテールでは初としている。