今回、Appleが自社キャンパス内にシアターを設置したこと、そして人々が働く場所、訪れることができる場所としてApple Parkを完成させつつあることは、Appleという企業にとって非常に大きな意味合いがあった、と実際に歩いてみて感じた。

Apple Park内で移動や撮影が許されたのは限られた場所だけで、植えられたばかりの植物はまだまだ根付いて間もない状態と、完成形を見たわけではなかった。しかし、これまで秘密主義だったAppleが、人々を招き入れる場所を用意し、小売店を変化させている様子は、明らかな変化を読み取ることができる。

先行で1日限りのオープンとなったビジターセンターの様子。ここには従業員以外にも開放している

Appleはテクノロジーを搭載する製品を販売する企業で、ハードウェアとソフトウェアの連携を売りにし、より自然に高度なテクノロジーが生活に入り込むシーンを、幅広い人々に提供する。特にiPhoneを発売してからの10年間で、モバイルがテクノロジーの基本になり、アプリが行動を変化させる原動力になった。そうしたテクノロジーの変革を進めてきたAppleが、より体験を重視する企業へと舵取りすることは、自然な流れだと考えられる。

そんなAppleが何を考えているのか、どんな未来が待ち受けているのか、そして我々がどう変化することになるのか。こうした未来像を見せる手段は、新製品だけでなく、コミュニケーションであり、その背後に流れる思想がより重要となってくる。

Apple Parkは、そうしたコミュニケーションによって思想を伝える場となり、またApple Storeは、その場を世界中に展開する手段となって拡がり続けている。今後も、Apple Parkを核として、体験とメッセージを伝えるコミュニケーションを強化していくことが期待できよう。Appleは、今後も、時代に合わせて、社会問題や我々人間の問題を解決する新しいモデルを、テクノロジーを通じて作り続けていくことになるだろう。