IDC Japanは9月5日、国内IoT(Internet of Things)市場の企業ユーザー動向調査の結果を発表した。これによると、国内企業のIoT利用率は6.0%となり、組立製造、運輸/運輸サービス、公共/公益の大手企業を中心に、IoTの利用率は継続的に向上しているという。

2017年の「IoT利用企業」の割合(2016年、2015年との比較) 資料:IDC Japan

同社は、2017年6月~7月の期間で全国の従業員規模100名以上の企業を対象にした、IoTの利用動向に関する定量調査(Webアンケート)および定性調査(個別の対面インタビュー)を実施。

Webアンケートに対して回答があった3941社のうち、同社の定義するIoTの利用企業は235社で、利用率は6.0%と前年の調査から0.6ポイント増加した。組立製造、運輸/運輸サービス、公共/公益といった産業分野の大手企業を中心に、IoTの利用率は向上しており、またいずれの産業分野でもIoTに対する認知度は高まっているという。

同社は、IoT利用企業の産業分野を4つのセクターに分類しており、セクター別に見た場合、IoTの利用率が最も高いのは製造/資源セクターで利用率は9.1%。同セクターでは組立製造の企業を中心に、製造プロセスにおける製品品質の向上や製造アセットの故障検知など、工場内においてさまざまな用途でIoTを活用している。

そして、自社工場内で培ったIoTに関する経験やノウハウを活用し、社外顧客向けにIoTを活用したサービスを提供する事例も登場し始めており、製造/資源セクター以外の利用率はそれぞれ流通/サービスセクターでは4.1%、公共/インフラセクターでは3.9%、金融セクターでは4.8%となった。

利用用途別に見た場合、社内業務プロセスの合理化を目的とした「社内用途」で利用するケースが8割以上を占める一方で、IoTを顧客向けの製品/サービスの付加価値創出や新たなビジネスに役立てる「社外用途」で利用する企業も一部では広がっているという。

また、IoTの導入/運用窓口については、事業部門の割合(約40%)がIT部門の割合(約31%)を上回る結果になっており、事業部門主体でIoTビジネスが加速するのに伴い、産業分野別に強みを持つ「IT以外の特定業種事業者」や「制御系システム/FA事業者」が中心になり、企業にIoTソリューションを提供するケースが増える傾向にあると想定している。

同社のコミュニケーションズ シニアマーケットアナリストである鳥巣悠太氏は「社内用途でIoTを利用する企業は、人材不足、先進技術への対応の遅れ、費用対効果の明確化の難しさを課題として認識している。また社外用途の企業では、他産業の企業とのパートナリング拡大、新たな収益モデルの確立、顧客の隠れたニーズの掘り下げに重要性を感じている」と述べている。