IDC Japanは23日、2017年第2四半期における国内携帯電話およびスマートフォンの出荷台数を発表した。全出荷台数は711万台で前年同期比0.3%減だった。トータルでは、ほぼ前年並みと穏やかなものだが、細かく見ると印象が少し変わる。
IDC Japan調べによると、国内携帯電話市場(従来型携帯電話とスマートフォン)において、シェアトップとなったのは265万台を出荷したアップル。ただし、前年同期比13.4%減となり、かつてのように出荷台数を増やし続け、無敵とも呼べるような状況とは変わりつつあるようだ。次点はXperia XZsほか従来モデルが好調だったソニーで138万台を出荷、3位が富士通で97万台だった。
今回、最も注目すべきはSIMフリースマートフォンの数値。多数がMVNO向けとなるSIMフリーモデルは53.4万台と前年同期比16%増だった。一見好調に見えるが、構成比はスマホ市場全体の7.8%と2017年第1四半期の9%からやや後退しており、高成長が続いたこれまでと比べ成長が鈍化しつつあるとIDC Japanは指摘する。
その要因について、IDC Japanアナリスト菅原啓氏は「今までSIMフリーモデルを中心に展開していた外資系端末ベンダーにも、国内大手キャリアとの協力に基づきSIMロックありのモデルを供給する動きが見られることが理由のひとつだと思われる。また、MVNO事業者への転入者の新規端末購入率が端末ベンダーの期待を下回る状況が続いたことも、出荷の伸びが鈍化した要因と考えられる」としている。
今後もしばらくは、MVNOへ流れるユーザーが増加していくことは間違いないが、今回の調査結果を見る限り、ユーザーの動きに合わせてSIMフリースマホの出荷量が劇的に増加していくことをイメージし続けるのは、これから先に起こりうることを見誤りかねないことになる。SIMフリースマホの成長鈍化が一時的なのか、これからも続くのか。それによって、業界の動きにも変化を及ぼすだけに、次回以降の調査結果にも注目したい。