ベニオフ氏によれば、Salesforce Economyは、2020年までにGDPに3890億ドルの影響を与えると予想されているという。そして、2020年までに190万人がSalesforceエコシステムで雇用されるという予想や、Salesforce関連のスキルを必要とする求人は4.6倍伸びるというBizReachの予想などに言及。さらに、2021年までにAIを利用したCRMによって生み出される経済効果は1兆1000億ドルという予想もあるという。

では、どうやってSalesforce Economyに参加するのか。ここでTrailheadを紹介。

Trailheadは無料で利用できる学習プラットフォームで、プログラミング知識がない人でも学べるというシステム。プロセス、技術で構成されており「誰もがトレイルブレイザー(新し道を切り拓く先駆者)になれる」とベニオフ氏。面白く学べるようにゲーミフィケーションの要素をちりばめ、自分のペースで学習できる。ある段階に達成するとバッチがもらえる仕組みだが、すでに250万ものバッチを発行したとのこと。400万人が利用しており、この中には別の業界を志していたがTrailheadに出会ってSalesforce Economyで活躍しているという例も多数あるという。

Salesforceはユーザーの裾野を広げる目的からTrailheadを大きくプッシュしており、2016年秋に地元サンフランシスコで開催した年次イベント「Dreamforce 2016」では、キャラクターも登場して大きなスポットが当たった。

最後にベニオフ氏は技術革新に触れた。同じくDreamforceで発表したAIの「Salesforce Einstein」だ。特徴はプラットフォームの内部にAIプラットフォームを統合することで、使いやすくした点だ。「SalesforceのすべてのCRMがスマートになる」とベニオフ氏は強調した。

すでにコカ・コーラは飲料を冷却するクーラーにカメラを入れ、カメラをEinsteinと接続、API「Einstein Vision」のオブジェクト検出機能を利用してクーラー内にどの製品が入っているのかなどをモニタリングしているという。また、産業ロボットのKukaは、予測メンテナンスに利用し顧客である工場に重要な情報を通知しているという。

「Einsteinはみんなのためのデータサイエンティストだ」とベニオフ氏は述べる。

AI時代に向けたSalesforceの回答は「Salesforce Einstein」。「みんなのデータサイエンティスト」とベニオフ氏

デモでは保険企業が、Watsonのひょうが降るという天気情報を起点に、その地域にいる契約者にひょうが降ることを事前に知らせて対策を促すパーソナライズメッセージを送った。顧客満足度を上げ、保険料を抑えることができるという