今年7月に創立100周年を迎えるニコンから登場した「D7500」。本機はセンサーサイズがAPS-Cサイズ相当となるニコンDXフォーマットの最新ミドルクラス機だ。ニコンDXフォーマット機のラインナップを簡単に説明すると、エントリークラスのD3000番台 (最新はD3400)、エントリークラスながらより本格的な撮影機能とバリアングル液晶を備えるD5000番台 (最新はD5600)、フラッグシップ機並の撮影性能をミドルクラスのボディに詰め込んだD7000番台 (本機はその4代目)、そしてフラッグシップのD500という4つのラインで構成されている。
試用してもっとも印象に残った点は
約1週間、D7500と過ごしてみて一番印象的だったのは、画質やAFといった機能的なことではなく、カメラの道具としての最もプリミティブな要素であるグリップの良さ。指がかりの良さとボディの重量バランスが相まって、このクラスとしては軽量 (約720g) でコンパクトなボディをさらに軽く感じさせる。
この「軽く感じる」というのが大切なところで、ブレを防ぐという意味ではカメラはある程度重量があったほうがよいが、重く感じてしまうと疲れてしまうし、それはつまり適切にグリップできていないということ。極端な例だけど、10kgの鉄球ってまず持ち上がらないけれど、10kgのトランクだと軽く持ち上がるでしょ。
軽さに加えて、ボディの剛性感が高いのも良い。望遠レンズを装着しての持ち歩き時やレンズ交換等の際にグッと力を込めてもボディが華奢な感じは一切しない、まさにシッカリ感の塊だ。こういったボディの造り込みは「流石はニコン」と唸らされるものがある。
上の写真を撮影したのは18時半過ぎ。朝9時からほぼ休みなく20kmも歩き回って撮影したのだけれど、グリップが良いので疲労感が少なく集中力を保ったまま撮影を続けられた。カタログやスペックでは決して顕れることのない、カメラの素の性能が長時間持ち歩くとわかる。持ちにくいカメラだと撮影の次の日に手が筋肉痛になるけど、D7500はそんなことなかった。
この軽さと強さを両立させているのは、炭素繊維複合材料 (いわゆるカーボンコンポジット) とモノコック構造を採用した設計の賜物だろう。レーシングカーや最新の航空機と同様の構造設計をカメラボディにも採用しているところが凄い。
これまで実績のあるプラスチックや金属ダイキャスト構造などではなく、カメラの分野ではノウハウの少ない素材であるカーボンコンポジットにチャレンジし、成功 (高剛性と軽量化を両立) しているというところにニコンの技術屋としての矜持を感じる。それでいて大々的にアピールしていないところがニコンらしいというか、凄い技術こそ縁の下の力持ちであるべきという職人イズムがあるように思う。