Amazon Goとの共通点と違い

ムービーからわかるのは、Amazon Go、次世代型ファミリーマートともに、AIを活用していることだ。両社ともに画像認識を用いて商品を判別し、アプリケーションの活用によりキャッシュレスとするなど、スムーズな購買体験を描いている。

ファミリーマートの場合は、来店客の属性情報も認識し、運営側も需要予測に基づいて店内オペーレーションの円滑化も構想しているところに新しさがある。

ひとつ大きく異なるのは、ファミリーマートの場合は、店舗従業員の姿が多く見られることだ。このムービーがお披露目されたLINE発表会では、ゲストとしてファミリーマートの澤田貴司社長が登壇し、Amazon Goとの違いについて語っている。

LINEカンファレンスでファミリーマートの澤田貴司社長が登壇。次世代コンビニのコンセプトムービーが披露された

「映像には、加盟店のみなさんが働いている姿があった。僕らが一番大事にしているのは、1万8000以上の店舗の20万人の仲間。様々なテクノロジーを活用して次世代店舗に取り組んでいるが、一番大事なのは、あそこに映っていた人たちが、喜んで笑顔で仕事をすること。これがファミリーマートがLINEと一緒になって創る理想のコンビニエンスストア。人が宝だと思っているし、それが地域・社会貢献につながると考えている」(澤田社長)

この発言からわかるとおり、ファミリーマートの次世代型店舗は、人ありきの考え方になっている。Amazon Goにはその姿はない。そもそもコンビニの成り立ち自体が加盟店ありきの上に立っているというビジネス上の違いもあり、当然と言えば当然かもしれない。ネット発祥のアマゾンとは次世代型店舗の描き方は大きく変わってきてしまう。

現段階でファミリーマートはLINEとともにコンセプトを発表したに過ぎないが、アマゾンのような考え方とは大きく違うことが見て取れる。AIの活用という共通項はありつつも、ファミリーマートの次世代店舗はあくまでも、人を補助するものとしかならないだろう。日本版Amazon Goが誕生するか、という問いに対しては、同じような要素ももちつつも、ベースが違い、発展の方向性も異なったものになる、という答えしか出てこない。