インフルエンサーマーケティングを手掛けるTHECOOは、6月9日に"YouTube 3 Way"と題したセミナーを開催し、企業がサービスや商品を紹介する目的で利用するYouTubeマーケティングについて、その活用方法を紹介した。

最初に登壇したダブルクラッチテクノロジーズ 代表の船越貴之氏は「YouTubeでは現在1分間にアップロードされている動画は24時間を超えていて、一生かけてもすべての動画を見終わることはできない。それほどまでにYouTubeは巨大なプラットフォームとなっており、アメリカではすでにケーブルテレビを越える視聴率になった。日本でも同様の流れが起きている」と、YouTubeの成長に触れたうえで、企業は3つの手段によってこのプラットフォームを広告で活用できると述べた。

その活用方法とは「YouTubeに広告を出稿する」「YouTubeでチャンネルを運用する」「YouTuberと協業する」の3つだ。

ダブルクラッチテクノロジーズ 代表の船越貴之氏

YouTubeのページや動画内に広告を出稿する

「YouTubeに広告を出稿する」は、Webサイト上や動画内などに広告を掲載する方法。YouTubeのトップページを1日1社買い切りで出稿する「マストヘッド広告」や、動画の再生前に流れる「動画広告」、動画の画面内に表示される「ディスプレイ広告」など、さまざまな種類が存在する。

船越氏は「イベントや新商品ローンチなどの大規模なブランディングを構築する場合をはじめ、リーチ拡大や購買促進といった利用目的に応じて、効果的なキャンペーンを設定する必要があり、そのためには知識と経験が求められる」と述べた。

YouTubeの広告スペース

自社のYouTubeチャンネルを運営する

次に紹介したのが「YouTubeでチャンネルを運営する」方法。自社ブランドの専門チャンネルを開設し、商品紹介の動画やドキュメンタリー動画などを定期的に投稿することで、ブランディング確立や購買アクションにつなげるというものだ。

これについて船越氏は「YouTubeチャンネルを自社で設定する場合、クオリティの高い撮影や編集をすべて自分たちで行わなければならない。漠然と投稿するだけではなく、ブランド認知につながるロゴやジングルの作成をし、高い頻度で更新する必要がある。そしてサムネイルの整理や再生リストの作成など、チャンネルの最適化を徹底して行わなければ、ファンの創出につながらない」と、そのハードルの高さを伝えた。そのためには、チャンネル運営のノウハウを持った専任スタッフを用意するなど、リソースの確保が大事だという。

YouTuberと協業する

3つめは「YouTuberと協業する」方法だ。自主作成した動画を公開し、その動画再生によって得られる広告収入を主な収入源としているクリエイターをYouTuberと呼ぶが、近年、圧倒的な再生数を稼ぐ動画を生み出すスタークリエイターが何人も生まれている。

船越氏は「企業が広告の動画をただ公開するだけでは、視聴される確率はそこまで高くなりにくい。しかし、有名YouTuberが自分のチャンネルで公開したタイアップ動画であれば、チャンネル登録している多くのファンにリーチすることができる」と、YouTuberと協業するメリットが大きいと自身の考えを伝えた。

また、先述のように、企業が自社でチャンネル運営を行う場合、しっかりとしたノウハウやリソースの確保が必要になることから「それらの課題をショートカットできる点も大きな魅力である」と述べた。

YouTuberとの協業事例

船越氏は「多くのYouTuberは動画再生による広告収入だけでなく、収入を安定化させるためにスポンサー収益やグッズの販売収益など、売上の分散を図っている。そのため、企業からの案件を求めている人も少なくない」と、現在はYouTuberと協業やすい環境にあると分析。「YouTubeの概要欄には直接依頼する方法もあれば、キャスティングから成果物の納期やクオリティまで保証してYouTuberを紹介するマッチングサービスも生まれてきている」と、さまざまな方法でYouTuberとコンタクトを取れるようになっている現状を伝えた。

最後に、船越氏は「YouTubeはアメリカにおいて、すでにケーブルテレビ以上の視聴率を獲得。広告費もデジタルが追い抜いたことがニュースになっている。日本で起きてもおかしくはない」とYouTubeビジネスの可能性を述べた。