MM総研は8日、ブロードバンド回線事業者の加入件数調査の結果を公表した。2017年3月末時点の光回線サービス(FTTH)の契約数は2933.1万件で、前年度に比べ149.1万件の大幅増加となった。増加の背景にはNTTドコモとソフトバンクの存在がある。
FTTHを巡る携帯3社の現状
FTTHの大幅増加ついて、MM総研は携帯キャリアの光コラボレーションモデルによる新規顧客獲得の効果を中心として、CATVのFTTH化が進んだことを要因に挙げる。
光コラボはNTT東西の光回線の提供を受けて、事業者がサービス提供する仕組みのこと。NTTドコモがドコモ光、ソフトバンクがSoftBank 光として2015年からサービスを展開。携帯電話回線と光回線のセットの割引サービスが受け、光コラボの市場は874.4万件とFTTH市場全体の29.8%、NTTの光回線に対して43.6%を占めるまでになった。
光コラボの勢いは続いている。MM総研の公表値から計算したところ、ドコモの契約数は2016年9月末で253万件だったが、2017年3月末には340.1万件となり、半年で100万件の増加に迫る勢いだ。ソフトバンクについて2017年3月末段階で契約数は約250万強と見られ、同様の伸びを示していると思われる。ドコモ、ソフトバンクともに、キャリアショップを基点に、契約者を伸ばした形だ。
実は、この光回線については、顧客をつなぎとめておく効果が多分にあると見込まれ、携帯大手各社が力を入れているところ。ドコモ、ソフトバンクともにがっちりと顧客を囲い込む戦略を淡々と進めていることになる。
好調な両社に対して状況が異なるのがKDDIだ。2016年9月末の契約数が384.4万、2017年3月末には389万とほぼ横ばい。KDDIの場合、自前の回線をau ひかりとして販売しており、2012年から「au スマートバリュー」という名称でサービスを展開。両社に先行する形で光回線に取り組んできた。そうした経緯があり、今では増加幅が減り、横ばいに近くなっているのが現状だ。
光コラボは今後どうなるか
MM総研は今後のFTTH市場について、市場全体が緩やかに拡大するとともに、光コラボの占める割合は増えていくと予測する。FTTHは2018年3月末で3064万件と年間で4.4%の成長と見る。光コラボは同時点において、1189万件、FTTH市場において38.9%を占めるとする。
KDDIはドコモ、ソフトバンクよりも先行展開してきた分、FTTHの増加余地は少ないという見方ができる。対して、携帯電話の加入者数から見た場合に、ドコモとソフトバンクにはまだ伸び代がありそうだ。KDDIがこの先、FTTHに対してどうテコ入れをするのか。MM総研の調査結果から、光回線を巡って携帯3社が同一の置かれていないことがわかる。