平井社長は、「中長期の持続的成長に向けては、ソニーが、コンシューマに向き合い、お客様に感動をもたらす『ラストワンインチ』の存在であり続けることが大切だと考えている。ソニーがお客様に、感動をもたらす場所は、お客様に最も近いところ、つまり「ラストワンインチ」である。機能面での圧倒的な差異化に加え、デザインや質感にもこだわった、お客様の感性に訴える商品を開発し、それを世界中にお届けする。ソニーはお客様の体験のインターフェースとなる商品をつくり続ける」とし、「4K有機ELテレビなどは、まさに、お客様のラストワンインチで感動をもたらすことができる、『KANDO@ラストワンインチ』を体現した商品と自負している」とする。
経営方針説明会で、「ソニーは、何の企業か?」と記者から問われた平井社長は、「ひとことでいえば、感動企業」と答えてみせた。今後のテレビ事業において、「規模を追わず、違いを追う」という基本姿勢を維持しながら、収益性を高めるための一手をどう打つのか。そして、そこに、テレビにおける次の「KANDO」をどう盛り込むのか。
「数年前には、コンシューマエレクトロニクスという産業そのものの将来性に懐疑的な見方があった。だが、私は、コンシューマエレクトロニクスにイノベーションはある。一歩も引かないと言い続けてきた」と平井社長。これは、ソニーの今後のテレビ事業にも当てはまる言葉だろう。だからこそ、平井社長は、テレビに対しても、KANDOという言葉を積極的に使い続けている。
年間5000万台規模のサムスン、年間3000万台規模のLG電子に比べると、1200万台というソニーの出荷規模は見劣りするが、それでいても存在感を発揮することは可能だろう。
2018年度以降の中期経営計画で打ち出される新たな成長戦略が、ソニーのテレビ事業の本格的な回復を、本当の意味で評価するものになりそうだ。