プレミアムエントリーと呼ぶにふさわしい

EOS 9000Dはキヤノンの一眼レフラインナップの中ではエントリーモデルとなるが、定番のEOS Kissシリーズとはひと味違った上級感がある。

EOS Kissシリーズは多くのエントリーモデルと同様、電子ダイヤルがひとつしかないので、AEモードで露出補正をしたり、マニュアル露出時に絞りを操作するには、ボタンを押して電子ダイヤルを回さないといけない。ちょっとした手間と言えばそれだけだが、露出の微調整はそれこそ1枚撮るごとに行いたいものだから、そのひと手間がとても大きい。その点、EOS 9000Dは背面にサブ電子ダイヤルを備えていて、露出コントロールがとても快適に行える。

上面に表示パネルがあるのもカメラ慣れした人には安心感が持てるポイントではないかと思う。エントリークラスの軽快さと、ワンランク上の操作性のよさを兼ね備えているところは見逃せない。EOS Kissでは物足りないと感じている方にはおすすめしたいカメラだと断言できる。

ただし、機能や性能を重視するなら、上位のEOS 80Dもチェックしておくべき対象となる。電池とメディア込みで190gも重くなってしまうが、ファインダー性能はぐっと上がるし、連写スピードも7コマ/秒になる。AFまわりの設定もずっと細かくやれるし、測距点の移動も快適だ。発売されてから1年ちょっと経過していることもあって、実売価格はEOS 9000Dと大差はない。

普通なら、中級機とエントリーモデルを並べてうんぬんすること自体が変なことだが、EOS 9000Dのスペックアップぶりを見るとついつい上のクラスと比べたくなってしまう。それぐらいよくできているのがEOS 9000Dのすごいところだと思う。

黒っぽい板壁を再現するためにマイナス2段の露出補正を行った。サブ電子ダイヤルを装備しているおかげで、露出を調整しやすいのがうれしい。Avモード F8 1/200秒 -2.0EV補正 ISO100 WB:オート(雰囲気優先) ピクチャースタイル:オート EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM(焦点距離:15mmで撮影)

照明のない屋内で、窓から入る光だけで撮った1枚。暗部のディテールがよく残ってくれているし、ノイズも少ない印象だ。Avモード F5 1/50秒 -1.3EV補正 ISO400 WB:オート(雰囲気優先) ピクチャースタイル:オート EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM(焦点距離:12mmで撮影)

初期設定のピクチャースタイル「オート」で撮影している。スタンダードよりもやや彩度が高めで色のノリもいいが、「風景」ほど強くないので扱いやすい印象だ。Avモード F9 1/320秒 -0.3EV補正 ISO100 WB:オート(雰囲気優先) ピクチャースタイル:オート EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM(焦点距離:10mmで撮影)

望遠端の135mmで最短撮影距離付近まで寄ってみた。この条件ではアマさが目立つレンズも多いが、この描写なら良好。ボケもクセがなくていい。Avモード F5.6 1/160秒 +0.3EV補正 ISO100 WB:オート(雰囲気優先) ピクチャースタイル:オート EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USM(焦点距離:135mmで撮影)

EF-S10-18mmは、広角ズームとしては非常にお手ごろな価格が魅力。周辺部のアマさはあるが、価格から考えれば十分に満足できる。Avモード F5.6 1/20秒 +1.7EV補正 ISO100 WB:オート(雰囲気優先) ピクチャースタイル:オート EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM(焦点距離:10mmで撮影)