昨今巷で話題となっているIoT。さまざまな可能性を秘めたIoTではあるが、IoT技術を駆使したサービスを世に送り出すには専門の知識もノウハウも必要となってくる。そんななか、今回「2017 Japan IT Week 春」の会場内では容易にIoT技術を活用することが可能なサービスやソリューションがいたるところで展示されていた。情報技術開発(tdi)ブースで展示されていたカゴヤ・ジャパンの「IoTサービス支援基盤」は、AIを含めたさまざまな先進技術を“パーツ”として扱い、パズルのように組み合わせるという手軽さでIoTサービスを構築することができるという面白そうなものだ。

情報技術開発(tdi)のブース全景

「IoTサービスの支援基盤」の活用例として出展されていた「来客対応システム」には多くの来場者が興味を示していた

「IoTサービスの支援基盤」の解説パネルと、その支援技術を活用して作られた「来客対応システム」の解説パネル

「あなたのアイディアをすぐ試せる!!」とキャッチコピーで謳われているように、この「IoTサービスの支援基盤」は手軽にIoTサービスを構築することが可能だ。解説員の話によれば、ディープラーニングや自然言語処理、音声・画像認識やビッグデータといったAI等の先進技術を、クラウド上に用意されたAPIを組み合わせることによって自在にサービスを構築できるという。実際に「来客対応システム」は、「IoTサービスの支援基盤」を活用しなんとわずか3日で簡単な仕組みを構築したというから驚きだ。

この「来客対応システム」は、まず受付に顔認証を行うカメラとPCを用意して顔写真を撮影、データを照合し過去に来社履歴があるかないかを判断。来社履歴がない場合は、名刺管理アプリを用いて来訪者の所属や氏名といった情報を取得し顔写真と紐付けを行う。そして、担当者のPCに来訪を告げるワケだが、顔写真および名刺データに紐付けられた文書やデータなどを来訪通知と合わせて確認することができるのだ。「ああ、○○さんと……今日は××の案件の打ち合わせだったな。前回の打ち合わせで使用した資料は、と……」といったように、単なる来客受付に加えプラスアルファの要素をわずかな開発工数で持たせることが可能になるのだ。

「IoTサービスの支援基盤」の技術を活用してデモンストレーション用にわずか3日間で開発された「来客対応システム」。まず来訪者は受付に用意されたPCで「受付」ボタンをタッチする

そして、PCのフロントカメラで顔写真を撮影し来訪者が以前訪れたことがあるかをチェック。未登録の来訪者だった場合は引き続き名刺を撮影

本イベントでのデモンストレーションでは、スマートフォンを用いて名刺を撮影していたが、もちろんPCのフロントカメラでも代用可能とのこと。むしろスマートフォンを活用するより技術障壁は低いのだとか

以上で来訪者側の登録は終了。顔というビジュアルイメージに加え、名刺に記載されたデータが紐付けられる。ちなみに、万一名刺から読み取った名前のデータが間違っていた場合は、担当者側でデータを修正することが可能とのこと

そして、こちらが担当者側PCでの通知画面。来訪者の顔と名前、そしてカゴヤならではのクラウド技術を活用し、来訪者に紐付いたファイル管理システムによってユーザーに新たな価値を提供してくれる

「よし、明日から全社的にIoTへ取り組むぞ!」といった社長の鶴の一声はもちろん、自社製品とIoTを結びつけたい、IoTサービスのアイディアはあるのでいち早くカタチにしてみたいといった中堅・中小企業の担当者の皆さまは、まずは手軽に利用できる「IoTサービスの支援基盤」を検討してみてもよいのではないだろうか。本格的なサービスインは2017年秋頃を予定しているとのことだから、それまでにどのように熟成を重ねてくれるのかに期待したい。