三井不動産 ベンチャー共創事業部長 菅原晶氏(左)。右はアクセルスペース 代表取締役 中村友哉氏。中央にあるのが小型人工衛星「GRUS」のモックアップだ

さて、Clipニホンバシの移転を披露する記者会見において、「オヤッ!?」と思うようなゲストがあった。三井不動産からベンチャー共創事業部長 菅原晶氏が出席したのは当然のことだが、超小型人工衛星の開発で知られているベンチャー企業、アクセルスペースの代表取締役 中村友哉氏も姿をみせた。

Clipニホンバシが入居するビルは3階建てだが、1FはClipニホンバシ、そして2F・3Fにアクセルスペースが居をかまえるのだという。そのため、この記者会見に中村氏が参加し、アクセルスペースの取り組みなどについて語った。

ちなみにアクセルスペースは、50機の超小型人工衛星を打ち上げ、それらのデータを組み合わせた全球毎日観測プラットフォーム「AxelGlobe」(アクセルグローブ)を2022年までに構築するのだという。

日本橋としてはこぢんまりしたビル

話をもとに戻そう。このビルは3階建てと前述したが、ここで少し疑問がわく。日本橋といえば三井不動産の“本丸”ともいえる場所。三井タワーという高層ビルがそびえ、コレドといった商業・オフィスビルが集積している。そんな土地柄にあって3階建てとは、こぢんまりし過ぎているのではないか。

「お茶の水」と名づけられた畳の打ち合わせスペース。脚をくつろげる場所があるのはうらやましい

この疑問に対し菅原氏は「以前からアクセルスペースさんから『オフィスが手狭になったので移転先を探してください』と頼まれていました。しかも『一刻も早く』とのことです。これ以上高いビルを建てるとなると建設に時間がかかるので、この規模になりました(笑)」と話す。

この話が本当なのか冗談なのかはさておき、三井不動産にも利がある。それは旧Clipニホンバシが手狭になっていたこと。事実、以前取材させていただいた担当者に聞くと「移転前のClipニホンバシではユーザーを収容しきれなくなっているそうだ。フロアを拡張したClipニホンバシに移転することは、新たなシーズが生じる際に、物理的な“場所”がないという障害を防ぐことにも通じる。

さて、31VENTURESでは、大企業とベンチャー企業の共生を目指し、新たな事業の創生を促すという。大企業の資本力とベンチャーの発想力、そして両者をかけあわすことによる意外な事業……日本橋から新たな産業が生み出されるのが楽しみだ。