「今年から北海道では初の学生ボランティア(北海学園、札幌大学)の単位認定も始まり、学生ボランティア100人が映画祭を手伝ってくれました。僕らの活動を次の世代へ繋ぎ、ゆうばり映画祭での活躍の場を増やしていきたいですね」(千石さん)

実際、映画祭期間中、会場のあちこちで学生ボランティアが大活躍。前出の『blank13』に出演した俳優の村上淳は、舞台挨拶で開口一番、学生ボランティアに向かって「今後の日本映画界を支えるのは君たちです」と語りかけ、会場からも温かな拍手が送られていた。

夕張市と映画祭の変革は日本中の自治体の希望となるか

資金集めから運営処理までを取り仕切る千石さん。「正直、満足のいく資金調達はできていません。以前は華々しく行っていた映画祭も、外部からお金をもらっている以上、“かっこつけ”が効かなくなりました。運営も大部分は地元有志者はじめ外からのボランティア有志者で補われています。また、映画祭活動を通して夕張のような人里離れた閉鎖的な空間でしか生まれない人と人とのつながりこそが財政破綻後民間運営で10年続けられた秘訣。夕張は、もともと炭鉱の街。長屋暮らしで助け合ってきた名残があるのですよね」。

こうした独特のアットホーム感に支えられた映画祭を企業も応援している。ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を企画・運営するトラストバンクは、2016年12月より夕張市を支援するプロジェクトを発足。映画祭期間中にもブースを設置し、夕張市へのふるさと納税をPRした。

「映画祭会場はもちろん、弊社が運営する東京・有楽町の『ふるさとチョイスCafé』に来てくださったお客様に夕張市への応援メッセージを書いていただき、まとめた後で夕張市に寄贈する予定です」(トラストバンク伊藤健作さん)。

こうした取組みが功を奏し、ふるさと納税額も増えているそう。「寄附に対するお礼の品の拡充も図り、今年は一昨年の3倍となる6億円を目指しています」(伊藤さん)

黄色いハンカチには様々なメッセージが

2018年以降は、アニメーション映画部門の新設など、さらなる改革が行われることも発表されたゆうばり国際ファンタスティック映画祭。財政再建と地方創生の両立を目指す夕張市の象徴とも言うべき同映画祭の変革に、日本中の自治体の視線が注がれている。