メディアやユーザーを巻き込んだデジタル施策

その後、高橋さんのアカウントが「旅する氷結」のプロモーション用と判明してからもフォロワー数はうなぎのぼり。13万もの“いいね”がついたり、「自撮りをあげた!」「ついにメガネ姿を公開!」などコメントも1000件超えの連続。

この反響に対し「最初のショットを自撮りでお願いしたのですが、なかなか見られない高橋さんの自撮りショットがファンの方に刺さったのかも知れません。」と小嶋さん。どんな写真を撮って載せるかは、プロモーションチームと代理店、そして高橋さんご本人の意見も取り入れながら決めているのだそう。

インスタに初投稿(3月7日)

そんな高橋一生効果もあり、「旅する氷結」そのものに対する注目度もあがってきた。

「TwitterやInstagramを見ていても、従来の氷結シリーズへの“いいね!”は数百件程度でした。ただ今回『#旅する氷結』で検索すると、ご自宅やお花見で『旅する氷結』の写真が1000件以上アップされています。フォトジェニックな商品だと思っていただけているのは嬉しいですね」(高柳さん)

そして高橋さんが地元メシを調理するWEBムービー「高橋一生のTaste the World! by 旅する氷結」も公開中。料理が得意という高橋さんが、パスタを使ったスペインのパエリア「フィデウア」や同じくスペインの伝統料理である「プルポ・ア・ラ・ガジェガ」などを手際よく調理。……かと思えば、玉ねぎを切って涙を流したり、腕にタコを乗せたりと、コミカルな一面ものぞかせる高橋さん。

3月9日のインスタ。この時の写真がWEBムービーの撮影時のものだったとは

“自分で情報を取りに行きたい”常にざわつかせる!

「『氷結』シリーズは、いかにたくさんの口コミを生めるかを意識しています。特にデジタルは情報がどんどん流れていきますから、まずは見てもらうことが大事」(高柳さん)

「15秒のTVCMを見せるだけでは訴求力として弱い。情報が氾濫する今の時代、お客様に『自分から情報を取りにいかなければ』と思ってもらわないと意味がありません。短い間で様々な仕掛けをうち、常にタイムラインをざわつかせるよう心がけています」(小嶋さん)

こういった戦略が効を奏して「旅する氷結」シリーズは、発売開始した3月21日から2週間余りで年間目標の半分となる35万ケースを超えた。4、5月の行楽シーズンに向けては当初予定の5割を増産する予定だという。さらには、5月9日には、シリーズの新商品「ロコロコパイン」を発売する。

シリーズの新商品「ロコロコパイン」ですよ。南国気分が味わえるかも?

これ以外にも、2016年には、『氷結』CMキャラクターの東京スカパラダイスオーケストラとさかなクンがコラボした期間限定動画を公開し、YouTubeの閲覧数が数日間で100万回を超えるなど、デジタル施策が話題性に大きく貢献。このように、広告を見せるだけのPRではなく、SNSや料理動画といったデジタル施策との連動プロモーションに大きく舵を切ったキリン。メディアやユーザーを巻き込んだ認知拡大への取組みに今後も注目していきたい。