シュナイダーがグローバルで展開するDC RACは、データセンター構築にかかわる課題に対し、プリセールスから提案、案件獲得、設計、プロジェクト実行に至るまでをトータルでサポートする専門組織だ。

グローバルで約700名のスペシャリストが在籍し、テクノロジーと製品、サービスからなる同社のポートフォリオをフルに活用して、データセンターの課題を解決していく。新しいプロジェクトを実行するだけでなく、既存データセンターにおける潜在的なリスクや利益率の低下を防止するためのコンサルテーションも行っている。

シュナイダーのポートフォリオ

DC RACは大きく、北米、ヨーロッパ、中国、インターナショナルという4つのリージョンに分かれて活動しているという。DC RAC Japanは、インターナショナルリージョン内のゾーンと呼ばれる組織に属し、日本固有の事情を知る人材や、周辺諸国のDC事業を担ってきた人材で構成されている。ゾーン、リージョン、グローバルの各レベルの間は、知見やノウハウが共有されており、必要な場合はただちにグローバルや他のリージョンから、人材やスキルセットなどのリソースを調達する仕組みだという。

DC RACの4つリージョン

DC RACのレベル階層

このようにして「日本の事情を踏まえながら、データセンター構築のグローバル標準を日本品質で届けていく」(Noraz氏)わけだ。

DC RAC Japanの組織とサービスは、大きく5つに分けられている。主にプリセールスとソリューション提供を担当する「ソリューションエンジニアリング」、基盤構築を担当する「プラットフォームエンジニアリング」、プロジェクトマネジメントを行う「プロジェクトマネジメント」、入札や調達などを行う「テンダリング」、アーキテクチャ設計を行う「ソリューションアーキテクト」だ。

日本国内のデータセンター構築コンサルティングで15年超の実績があるシュナイダーだが、これまでは系統立った活動はほとんどしてこなかった。企業の求めに応じて設計だけを行ったり、既存施設の改善提案だけを行ったりといったような単発での活動が多く、臨機応変に企業ニーズに対応できる反面、データセンター全体の標準化や自動化の取り組みは難しかったという。

「DC RAC Japanが設立されたことで、臨機応変な対応から、データセンター全体の改善までをトータルでサポートできるようになった。このことは、グローバル企業だけでなく、新しいビジネスを支えるインフラを求めるすべての企業にとって大きな価値になる」(Noraz氏)

クラウドサービスの普及や、デジタルコンテンツの増加、仮想化とコンバージドシステムへの移行といった新しいトレンドのなか、データセンターはこれまでにない環境変化にさらされている。Noraz氏は、「ビルディングから、ファシリティ、エネルギー、オートメーションなどの技術を持つシュナイダーエレクトリックは、新しい時代に向けて他社にない価値を提供できる」と、今後の展開に自信を見せる。

DC RAC Japanのトップであるシュナイダーエレクトリック エンジニアリング本部 本部長 深美雅彰氏(左)とSerge Noraz氏