遠隔操作や自動運転の実現には一層の低遅延が必要
ではなぜ、5Gでは一層の低遅延が求められるようになったのだろうか。その要因として挙げられるのが、多くの産業において、遠隔操作や自動操縦などといったITの新技術を活用した取り組みを、5Gのネットワークで実現したいという要望である。
離れた場所にいながら手術ができる遠隔医療や、ロボットなどの遠隔操作、そして車の自動運転などが実現できれば、特に少子高齢化が進む日本においては多大なメリットがあり、非常に多岐にわたる産業に大きな影響を及ぼすこととなる。だがそうした遠隔操作では微細な動きが求められるため、遅延によって操作がずれることは、致命的なミスにもつながりかねないのだ。
自動運転を例に挙げるならば、運行を管理するシステムからの指示伝達が少し遅れただけで、ブレーキなどの操作にずれが生じ、それが大きな事故につながり信頼を大きく損なう恐れがある。そうした致命的なエラーを防ぐためにも、ずれなく確実な遠隔操作を実現できる、ネットワークの低遅延化が求められているのだ。
遅延の少なさを重視するのであれば、固定のネットワークを用いる手もあるだろう。だがワイヤレスで広範囲をカバーできる5Gであれば、自動車など搭載できる機器の幅が大きく広がるし、都市部だけでなく地方などでも遠隔操作や自動運転の恩恵にあずかりやすくなる。5Gに低遅延が求められる理由は、固定通信並みの高速・大容量通信が可能であり、なおかつフレキシビリティがあるネットワーク故なのだ。