ファーウェイ・ジャパンは2月21日、都内で発表会を開催し、SIMフリースマートフォンの新ブランド「nova」シリーズ2モデルを披露した。SIMフリースマホブームに乗って、主にビジネス市場などをターゲットとしたハイエンド市場を中心にシェアを伸ばす同社だが、新ブランドでは若年層の市場開拓に乗り出してきた。

ファーウェイ・ジャパンの呉波社長(中央)

市場シェアは大幅拡大中

ファーウェイ・ジャパンの呉波(ゴ・ハ)社長は、業績が業界水準を大きく上回って好調であり、日本市場でも上位に食い込んでいることを紹介。さらなる飛躍をはかるため、ビジネス向けの「Mate」シリーズ、女性ユーザーをターゲットとした「P」シリーズに加え、若年層向けのフラッグシップとして新シリーズ「nova」を発表した。

2016年の出荷台数は29%増の1.38億台を達成。全世界の伸び率と比べても大幅な躍進だ。ちなみにミドル・ハイエンド向けスマートフォンの販売量シェアは36%に達するという

日本でもSIMフリースマートフォンの販売シェアで1位を獲得。キャリア専売も含めた全体でもソニーモバイルに続く3位につけている

Mate=ビジネスフラッグシップ、P=ファッション&フォトグラフィーフラッグシップ、nova=ユースフラッグシップ、と割り当てた

カメラに力が入った良バランスモデルの「nova」

新ブランドのフラッグシップモデルとなるのが「nova」だ。novaは「Innovation」から取ったということだが、超新星の意味も重ねているようだ。ブランドとしてはミドルレンジということもあって、性能のほうもミドル帯に属することになる。CPUには2GHz動作のオクタコアを採用した「Snapdragon 625」を採用。メインメモリは3GBと、スペック的にはちょうどASUSのZenFone 3と競合する製品だ。

ボディカラーは「ミスティックシルバー」「チタニウムグレー」「ローズゴールド」の3色。ボディ背面はやや丸みを帯びた形状で、手に持ったときにとても握りやすい。一方で、ゲームなどでテーブルに置く場合はガタつくので、水平で固定するためには、何らかのケースを併用したい。

SIMカードスロットはnano SIM×2を用意しており、3Gと4Gの同時待ち受け(DSDS)が可能になっている。さらにVoLTE対応、CAによる300Mbps通信が可能など、ハイエンド端末並の高機能を実現、このあたりもZenFone 3と直接競合している。

上面にヘッドフォン端子とマイクの穴、画面に向かって右側面が音量と電源スイッチ。左側面がnano SIMスロット兼microSDカードスロットだ

背面は指紋認証ユニット。セルフィー時に長押しするとシャッターになるのだが、筆者は左手で持つせいか、電源キーを押してしまい、なかなか撮影がうまくいかなかった。電源と音量の位置は入れ替えできないだろうか

ミスティックシルバーとチタニウムグレーはほぼそのままiPhoneの「シルバー」「スペースグレイ」に相当。ローズゴールドは名前も色味もほぼ同じ

液晶は5インチのフルHD解像度で、本体幅も69.1mmと持ちやすいサイズだ。液晶はベゼル幅が1.8mmしかない超狭額設計(iPhone 6s / 7は4.29mm)。液晶サイズは0.3インチ(約7.6mm)増えていても、4.7インチのiPhone 7と比べると幅は2mmしか増えていないことをアピールしていた。

とにかくiPhoneとの比較が多い。価格帯の違いを考えると、ちょっとiPhoneを意識しすぎかも

メインカメラは1,200万画素のソニー製センサーを採用。画素サイズが1.25μm四方と大型の素子を採用しており、暗所に強いほか、4K-30FPSの撮影も可能。像面撮像素子AFとコントラストAFを併用するコンポジットAFにより、素早いオートフォーカスが可能。インカメラも800万画素のユニットを搭載しており、リアルタイムに顔に化粧を施す「メイクアップモード」が搭載されている。

メイクアップモードはARでリアルタイムに顔を認識してエフェクトを施している。筆者の顔もこの通り、あー、華やかに。恐ろしい盛りっぷりだ

サウンド面では、DTS Headphone:Xによる7.1chバーチャルサラウンドに対応。対応コンテンツであれば、通常のヘッドホンでも7.1chのサラウンドサウンドを楽しめる。ただしこの形式に対応したコンテンツが事実上「Music Live」以外ほとんど存在していない(しかもMusic Liveは5月末でサービス終了してしまう)ため、残念ながら、当面は宝の持ち腐れということになりそうだ。

サイズ比較などではしきりとiPhoneの数値を引き合いに出しており、製品の位置付けとしてはiPhoneユーザーがターゲットになっているようだ。作りの良さを前面に押し出しているだけあって、細部まで精度の高い加工が施されており、よくできていると感じられる。手に持った感じも安っぽさは感じられず、iPhoneユーザーに訴求しようという心意気はよく伝わってきた。結果として、SIMフリーのAndroid端末としては、極めてコストパフォーマンスの高い一台に仕上がっていると言えるだろう。