インターネットイニシアティブ(IIJ)が取り組む、郵便局を通じたスマートフォンのカタログ販売が好調なようだ。昨年8月1日より東海地方限定でテスト的に始めたサービスだが、反応はよく、2月24日からは全都道府県の郵便局で取り扱われる。

同サービスは、IIJの音声通話付きSIM(データ通信容量3GB)と富士通コネクテッドテクノロジーズ製のスマートフォン「arrows M03」をセットにして提供するもの。通信プランや端末は選べず、セット内容は極めてシンプルなのが特徴だ。

購入希望者は郵便局の店頭に置かれたカタログをもとに、IIJ側に申し込み資料の請求・問合せを行う。申し込みのやりとりを終えると、電源ボタンを押すだけで起動するarrows M03が利用者の手元に届くという流れになっている。

郵便局を通じたスマホのカタログ販売の流れ(画像:IIJプレスリリース)

セット内容がシンプルなのは、ターゲットをシニア層、主婦層としたからである。郵便局を通じて、紙のカタログ販売を行ったというのも、ターゲットの多くが違和感なく受け入れられる手段だったからに過ぎない。

こうした、IIJの取り組みはうまくいったようだ。サービス開始時点では、東海地方の郵便局2050局でのテスト販売的な位置づけだったが、「想定以上の反響」(同社広報部)とし、その後、昨年10月に北海道、関東、南関東、近畿の7651局へエリアを拡大、そして今月24日からは全国の郵便局20077局にエリアが広がることになる。シニア層という狙いも外すことなく「60代のシニア層の契約が多い」(同上)としている。

2万以上もの郵便局を通じてIIJが得られるのは、大きな先行者メリットだ。MVNO各社は家電量販店、つまり商業エリアにおけるタッチポイントの拡充を図っており、現状はそれが功を奏している。しかし、いずれ顧客の獲得には、タッチポイントに変化を付けざるを得なくだろう。そう考えたときに、郵便局のような生活エリアに着目した取り組みがどれだけ契約増に貢献するできるのか興味深いところだ。