アイウエアブランド「JINS」を展開するジェイアイエヌは、同社のセンシング・アイウエア「JINS MEME(ジンズ・ミーム)」を使って、企業の生産性を可視化して高めるIoTソリューション「JINS MEME BUSINESS SOLUTIONS(ビジネス・ソリューションズ)」の展開を1月18日より順次スタートした。
ここでは、東京都・原宿にある同製品の旗艦店「JINS MEME フラッグシップストア 原宿」にて開催された同ソリューションのプレス発表会の様子をレポートする。
身体情報をデータ化するメガネをBtoB領域へ
「JINS MEME」は、メガネとしての形状や機能はそのままに、三点式眼電位センサーと六軸センサーを通じて、視線の移動やまばたきなどを検知し、眠気や集中度、体のバランスなどの生体データを取得できるウェアラブルデバイス。スマートフォンの専用アプリを通じて、心と身体のさまざまな情報を可視化できるのが特徴の製品だ。
このたび提供を開始した「JINS MEME BUSINESS SOLUTIONS」は、従業員の集中状態を「可視化」するのに加えて、その効果を「高める」までをワンストップのサービスとして企業向けに提供するソリューションだ。
JINS MEME 開発担当 井上一鷹氏によれば、近年の「働き方改革」の推進や「マインドフルネス」の導入といった企業の健康経営に社会の注目が集まり、「日本人の働き方」が見直されつつある一方で、その取り組みの成果に対する疑問が多いことが課題となっていることが背景にあるという。
技術的には、JINS MEMEの三点式眼電位センサーが「眼電位」(眼球の動きによる電位の変化)をもとに測定した8方向の視線移動と"まばたき"の状態、そして加速度・角速度(六軸)センサーによる体軸のブレ(姿勢)を検出して「集中状態」を測定するという。「人間は集中するとまばたきの回数が極端に減り、姿勢が安定する」という研究データをもとに集中力を可視化しているという。
社員の"集中力"をWebで共有
ここからは、同ソリューションの具体的なサービスの説明となった。まずは、Phone Appli(フォンアプリ)の代表取締役社長・石原洋介氏が登壇し、同社が企業向けに提供しているWeb電話帳「Phone Appli Collaboration Directory(PACD)」と連動し、従業員の集中度をリアルタイムに可視化することで社内コミュニケーションの効率化を目指す「"働き方改革"テレワーク支援サービス -コネクテッドオフィスワーカー-」が紹介された。
JINS MEMEを装着したメンバーの現在の集中状態を、Web電話帳にリアルタイムで可視化(アイコン化)することで、「集中状態にある人には電話をかけない」といった、相手の状態に応じたコミュニケーションが可能になるというということだ。
次に、井上氏が紹介したのは、コネクシオと共同で提供する「"働き方改革"アセスメント・サービス」だ。これは、勤務時間の変更やテレワークの導入、フリーアドレス化、オフィス環境の変革といった、企業が行うさまざまな生産性向上施策の効果を測定し、その結果をコンサルテーションに近い形でレポートするというサービスだ。
事例として紹介されたのは、人材紹介サービスを提供するビズリーチの社内エンジニア26名を対象にした実験。1週目にはJINS MEMEをかけて集中度を測定し、その結果をもとに各エンジニアが集中できる時間にシフトして再び残りの1週間をJINS MEMEで測定したところ、1日あたりの集中時間が15分間延びたそうだ。
1年250日働いた場合、単純計算で61時間も集中時間(※作業時間ではない)が延びる計算となり、全体的な生産性の向上が見込まれると説明した。なお、「"働き方改革"テレワーク支援サービス -コネクテッドオフィスワーカー-」と「"働き方改革"アセスメント・サービス」のふたつのサービスについては、「JINS MEME BUSINESS SOLUTIONS」の特設Webページにて、モニター参加企業5社を募り試験運用を実施するという(正式ローンチは4月3日を予定)。
Apple Watchが休憩タイミングをお知らせ
もうひとつ井上氏が紹介したのが、Apple Watchと連動してオフィス作業時の集中度測定を行い、「集中度」を可視化したり休憩を取るべきタイミングを知らせてくれたりする「JINS MEME OFFICE for Apple Watch」だ。集中力が低下している時に、Apple Watchが1日2回ほど休憩を促してくれるもので、「人間は1日4時間しか集中できない」という学説をもとに作業にメリハリを付けることで、その4時間を効率よく利用しようというものだ。2月中旬よりApp Storeにて専用アプリが無償配布される(watchOS 3.1以上)。