11月、シャープが2016年度第2四半期(2016年4月~9月期)の決算発表会を実施。シャープに出資して傘下に組み込んだ台湾・鴻海精密工業の副総裁から、シャープの社長に就任した戴正呉氏が初めての決算会見に臨んだ。黒船の襲来をも思わせる新社長は、シャープをどうするつもりなのだろうか。

就任後初めての決算に臨むシャープの戴正呉社長

プラズマクラスターやヘルシオブランドは健在

同社の連結売上高は前年同期から28.1%減と大幅に落ち込んだものの、中国での液晶テレビ事業の体質改善、液晶事業の体質改善などによる固定費削減効果もあり、営業利益は大幅に改善し7000万円の黒字となった(経常利益は-320億円)。

売上高をセグメント別に見ると、IoT通信、健康・環境システム、ビジネスソリューション、カメラモジュール、電子デバイス、エネルギーソリューション、ディスプレイデバイスすべてのセグメントで減少している。

事業セグメント別営業利益

売上高の減収とはうって変わって大幅に改善した営業利益。営業利益の面で大きく気を吐いているのが健康・環境システム部門だ。空気清浄機をはじめとするプラズマクラスター搭載商品、健康家電ブランドとしてオーブンレンジやスロージューサーなどをラインアップする「ヘルシオシリーズ」といった高付加価値商品の販売拡大に加え、経費削減の取り組みなどによって、前年同期比5.2倍の131億円と大幅に黒字が拡大した。

もう一つ大きな成果を出しているのがディスプレイデバイス部門だろう。工場の稼働率低迷などの影響で146億円の赤字になったものの、前年同期の415億円の赤字に対して大幅に縮小。これは前期末に行った構造改革の効果や経費削減の取り組みなどによる効果とのことだ。

業績について説明するシャープの野村勝明副社長

改善の兆しが見えたシャープ。今度こそ期待をかけたいところだが、同社がここに至るまでに進めた、あるいは進めている構造改革とはどんなものだろうか。

戦略的提携の発表から約1カ月後の2016年5月に公表した「早期黒字化に向けた3つの構造改革」、つまり「経営資源の最適化」、「責任ある事業推進体制」、「成果に報いる人事制度」をベースにさまざまな改革を進めてきた。