動画撮影機器の強化

鳴澤さんは「映像環境、動画の使われ方が変わってきたなと思っています。多様化する中で我々の今までの商品だと応えきれていないのではないかとの課題感がありました」と答えた。同社のラインナップの中に、客のニーズにあった動画メインの製品が足りない、と今回のアクションカムに行き着いたという。また360度撮影できるカメラについては、まだ製品数が少なく「市場が拡大する手伝いができたら」と、市場を作っていく時期だと見ている。

同社にとっては、動画の向けの撮影機器の開拓というわけだ。

360を使って撮影している様子を説明している企画部マーケティング課の鳴澤学マネージャー

スマホ撮影と同じ手間感へのこだわり

スマートフォンなどの普及によって、デジタルカメラといった既存のカメラの市場は縮小傾向が続いている。ニコンは、グループ全体の経営戦略の中で、市場の縮小が想定されるデジタルカメラなど映像事業は「ネットとの親和性」をテーマにあげ、取り組んできた。 スマートフォンなどの普及で、SNSなどへ映像の投稿、1日に18億枚の写真がネットで共有される時代に、映像は極めて重要なコミュニケーションツールになると分析。新しいデバイスやアプリケーションの提案などによって、スマホなどとの共存をどう実現できるか、が大事とみている。これが先に述べた動画撮影機器の強化につながっているし、常時接続を可能にする「SnapBridge」につながっているのだ。

「SnapBridge」によって、スマホで撮影するのと同じようなスムーズさで、カメラの高精細な映像をスマホ内に収められる。つまり、SNSへの投稿が、より手軽になる。「カメラでなくてもスマホでも写真は撮れる。どうやったらカメラの画質を楽しんでもらえるか。それには即時性だと」。「ネットとの親和性」へのニコンの1つの答えだ。

アクションカム発売にあたって、同社は、この「SnapBridge」の完成を待った。「リアルタイムで見られる機能とKeyMissionを一緒に出したかった」(鳴澤さん)という。

臨場感ある映像コンテンツを充実させ訴求

「SnapBridge」の完成を待ったこともあり、このタイミングとなった参入だが、同社は自信を持っている。「我々カメラメーカーとして来年で100年になります。技術品質は培ってきたものがあり、ニコンであればと信頼して、買う方も多くいるのではないかと思っております」(鳴澤さん)と期待。新しい展開なので客の反応を見ながら探っていくとのことだ。

ユーザーに対して、専用サイトやYouTube上に、これらの製品を使って撮影された臨場感ある動画をアップし、製品の良さをアピール。特に360についてはどんな動画が撮影できるのかを知ってもらうことからだという。

ニコンが100年かけて積み上げてきた品質の良さと、即時性、そしてまだまだ未開拓の360度カメラなどのバリエーションで、どこまでユーザーに支持されるだろうか。市場そのものも拡大できるかは、魅力的な新製品が増えることにかかっているともとれる今、“ネットとの親和性”をキーワードに即時性にこだわったニコンの新製品の売れ行きは注目してきたいところだ。