作業手順を目の前の画面に示すことができる「WCc」

「WCc」は、コニカミノルタジャパンのスマートグラスに、作業指示やマニュアルを表示して、倉庫業務や工場の保守保全業務の効率化を支援するソリューション。

今回、スマートグラスを装着して、その指示に従って作業をやってみた。指示はスマートグラスに表示されているので、本稿ではお見せすることができないのだが、「どのブロックをいくつ取り出す」という指示を受け、完了したら手に装着したリーダーでバーコードを読み取ると、次の指示が表示された。これを繰り返し、取り出したブロックを組み立てると「SAP」という文字が出来上がった。

スマートグラスに表示された指示に従って作業を進めていく

作業に関するデータはすべてクラウド上に収集して、作業員の効率も分析できる

何の予備知識もないまま、作業に取り組んだのだが、画面の指示に従うだけで、作業を完了することができた。これなら、未経験の人が新たな業務をこなすことも可能になりそうだ。

なお、作業にかかった時間や作業で起きたミスはすべてデータとして収集することができるため、作業員の効率も一目瞭然でわかってしまう。このデータに基づき、評価を行うことも可能だ。便利なシステムだが、シビアな一面もある。

店頭ショッピングとネットショッピングを融合する「INITINITE CART」

「INITINITE CART」は、デジタル技術を活用して、新たな購買体験を提供するソリューションで、SAPのマーケティング・ソリューションを提供するHybris Labsによって開発されたもの。

デモのシナリオはこうだ。実際の店舗で気になる商品を見つけたら、同社が開発したデバイスをかざす。ウィンドウ・ショッピングが終わったら、デバイスから商品の情報を抽出してECシステムに登録し、QRコードとして持ち帰る。自宅に帰ったら、QRコードから店舗でチェックした商品のデータを読み取り、ショッピングサイトから購入することができるというもわけだ。

店頭でデバイスを用いて商品のデータを収集し、デバイスからECシステムに登録する

家具や寝具など、実際に見て触ってみないと、購入を決めることが難しい商品は多々ある。かといって、自宅に帰って検討してみたいなど、店舗に行ったその場で購入することが難しい場合もある。そんな時、このシステムがあれば、商品を購入する機会を増やすことにつながるだろう。

この仕組みのキモは、匿名で顧客体験を提供できる点だ。ショッピングサイトでは、会員情報に商品の閲覧履歴や購入履歴がひもづけられており、利用にあたっては会員登録が必要なケースが多い。しかし、この会員登録が面倒だという人は多いので、商品の購入をやめてしまう人もいるだろう。このデモでは匿名を実現するため、独自の技術を駆使しているそうだ。

今年に入って、「デジタル」について取材する機会が増え、言葉としては十分理解していたつもりだったが、今回、実際に「何ができるのか」を体験してみて、デジタルが企業にもたらすメリットを実感できた。正に「百聞は一見に如かず」である。

「世間では、『デジタル、デジタル』と騒いでいるが、実際どうなんだろう」と思っている方がいれば、カスタマー・エクスペリエンス・センターに足を運んでみると、何らかの知見を得ることができるのではないだろうか。