2016年11月3日(米国時間)、MicrosoftはWindows 10 Insider Preview ビルド14959を、ファーストリングを選択したPCとモバイル向けにリリースした。Hyper-V上で動作する仮想マシンのスケーリング改善や、更新ロジックを刷新するUnified Update Platformの導入が行われ、2017年3月リリース予定のWindows 10 Creators Updateに向けて、着々と完成度を高めている。

OSイメージの差分のみ配布するUUPとは

昨日開催した発表会で明かされた次期大型アップデート「Windows 10 Creators Update」。現在2017年3月リリースを予定していることから、新機能の実装は年明け2017年1月一杯がいいところだろう。発表直後のInsider PreviewとなるOSビルド14959とあって、多くの機能が披露されるかと思いきや、大幅な変更は行われていない。Microsoft Windows and Devices GroupソフトウェアエンジニアのDona Sarkar氏が「Windowsはアイスバーグ(氷山)」と公式ブログで述べているように、目に見える更新はごく僅か。Creators UpdateにUIの更新をはじめとする新機能が加わることは明らかだが、そちらは現在執筆中のレポート記事でご報告する。いずれにせよInsider Previewは整合性を整えつつ、バグフィックスと改善を一歩ずつ進めていくのだろう。

さて、OSビルド14959はアップデートロジックを変更する「Unified Update Platform(UUP)」を実装した。Microsoft Windows Insider Program&OS FundamentalsプログラムマネージメントディレクターのBill Karagounis氏が投稿した記事によれば、大型アップデート時にOSのフルイメージを配信するのではなく、差分のみ配信する仕組み。その結果としてPC版では約35パーセントの削減につながる。

Karagounis氏はUUPの導入で大きな改善が加わるのはモバイルOSだと説明した。PCに比べてストレージ領域やネットワークスピードも遅いデバイスに対して、配信するデータが軽減されることで利便性が向上するのは明らかだ。ただし、UUPを実装しているのはWindows 10 Mobile Insider Previewのみで、Windows 10 IoTやMicrosoft HoloLens向けはまもなく。PC版は今年後半の実装を予定している。

さらにOSビルド14959では、Hyper-V上で動作する仮想マシンのスケーリングを改善した。元々Hyper-V仮想マシンは、RemoteFX 3Dビデオアダプターをインストールすると選択可能になる拡張セッション使用時は、解像度およびスケーリングが変更できない。フルHD程度の環境ならともかく4Kディスプレイ上ではGUIパーツや文字列が見えなくなり、非常に使いづらかった。

Hyper-Vの仮想マシンで拡張セッションを有効にすると、スケーリングや仮想ディスプレイの解像度は変更できない

このようなフィードバックを受けてMicrosoftは、新たに仮想ディスプレイを拡大表示するメニューを本ビルドから追加している。<表示>メニュー→<Zoom Level>からは、<100%><125%><150%><200%>が選択可能になるものの、筆者の環境では拡張セッションをオフに切り換えないと動作しなかった。今回の仕様変更に伴い、一部の環境で全画面表示モード時にリモートデスクトップ接続バーが表示されない問題や、拡大時にギザギザになってしまう問題が発生するそうだが、Microsoftは随時改善を加えていくと述べている。

拡張セッションを無効にすると、<表示>メニュー→<Zoom Level>から画像ディスプレイの表示倍率を変更可能になる

OSビルド14959の改善点・既知の問題

ここからはPC版とモバイル版の修正内容と既知の問題を紹介する。まずはPC版の修正箇所から。

  • 自動輝度調整機能が正しく動作するように修正した。手動で調整し、同機能を無効にする場合は、「設定」の<システム/ディスプレイ>に並ぶ「照明が変更した場合に明るさを自動的に調整する」のスイッチをオフにする。
  • ドメイン接続したPCがネットワークから切断されると、ログインに失敗する問題を修正した。
  • 「Outlookメール」「Outlookカレンダー」でエラーコード0x800700B7が発生する問題を修正した。
  • 一部のデバイスでSDカードを取り出す際にシステムがクラッシュする問題を修正した。
  • ロック画面にWindowsスポットライト使用している際、「好ましくない」画像を即座に切り替わらない問題を修正した。
  • タブレットモード使用時に、URLリンクなどを開いた際に別のアプリケーションが正しく起動しない問題を修正した。

続いてモバイル版の修正箇所を紹介する。

  • 「設定」の<ネットワークとワイヤレス/データ使用状況>のUIを改善した。
  • クレジットカードを追加した「Wallet」で支払いできなかった問題を修正した。
  • タスクスイッチャーが予期しないタイミングで終了し、スタート画面に戻る問題を修正した。
  • 「設定」の<システム/電話>から設定する「既定のアプリ」が正しく動作しない問題を修正した。
  • バッテリー節約機能が有効になると「Groveミュージック」のバックグラウンド音楽再生が停止する問題を修正した。
  • 一部の環境でコピー&ペースト機能がデバイスを再起動するまで動作しなくなる問題を修正した。
  • VPN設定で<Let apps automatically use this VPN connection>のチェックを外していると希にハングアップする問題を修正した。

筆者の環境にはWindows 10 Mobile Insider Preview ビルド14959が配信されていないため、公式ブログに掲載された画像を紹介する。ちなみに筆者のOSビルド14955では<データ使用状況>をタップすると「設定」がハングアップするため、変化を確認していないが、Windows 10 Mobile Anniversary Updateと見比べると、円グラフが取り除かれた。

筆者の環境にはWindows 10 Mobile Insider Preview ビルド14959が配信されていないため、公式ブログに掲載された画像を紹介する

次はPC版で確認された既知の問題を紹介する。

  • サードパーティ製ウイルス対策ソフトがインストールされている場合、以前のビルドにロールバックする可能性がある。
  • Internet Explorer起動してから数秒後にクラッシュしてしまう問題を確認している。

最後にモバイル版の既知の問題を紹介する。

  • OSビルド14951、もしくはOSビルド14955に"日付変更"でアップデートする方法は使用しないでほしい。Microsoftアカウントチケットを期限切れにすることで配信される。
  • これから数週間の間、Windows 10 Mobileの言語やキーボードをインストールすることはできない。必要であればWDR(Windows Device Recovery)ツールを使って初期状態から任意の言語やキーボードを選択する。

筆者の環境でデバイスのリセットを試してみたが、OSビルド14955は配信されなかったことを付け加えておく。なお、WDRツールはこちらからダウンロード可能だ。また、11月7日から13日(現地時間)までの1週間、Bug Bashが行われるため、Windows Insider Programに参加している読者諸氏はこぞって参加してほしい。

阿久津良和(Cactus)

前回の記事はこちら
・Windows 10 Insider Previewを試す(第71回) - 配信トラブルは改善されたか? OSビルド14955登場
http://news.mynavi.jp/articles/2016/10/26/windows10/
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