VRヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift」を利用するには高性能なPCが必要だが、普及価格帯のPCでも楽しめるようになりそうだ。

Oculus Riftは快適なVR体験のために90fpsのフレームレートを求めており、対応PCのシステム要件は、NVIDIA GTX 970 / AMD R9 290以上、Intel i5-4590以上、メモリー8GB以上となっている。しかし、ただPCの性能に頼るだけではなく、映像のレンダリングが間に合わない場合のために、今年前半にOculusは非同期タイムワープ(Asynchronous Timewarp)を採用した。頭の動きに対して画面が追従するように位置をずらして描画するタイムワープをV-Sync同期を待たずに行ってドロップフレームを防ぐ。これは頭の動きには効くが、位置の動きには対応できない。そこで新たに非同期スペースワープ(Asynchronous Spacewarp)という技術で、位置の動きによるずれも補完できるようにした。開発者カンファレンス「Oculus Connect 3」(米カリフォルニア州サンノゼ、10月5日~7日)の基調講演での説明によると、アプリケーションの安定動作が45fpsであっても、非同期スペースワープによって90fpsで動作しているように表示される。

非同期タイムワープと非同期スペースワープの効果を考慮して、Oculus Riftが動作するPCの最低システム要件を引き下げる。新たにグラフィックスカードにNVIDIA GeForce GTX 960を使えるようになり、CPUはIntel i3-6100 / AMD FX 4350以上に。USBが、USB 3.0×1、USB 2.0×2になる。これは最低動作要件であり、推奨システムはこれまでと変わらない。非同期タイムワープと非同期スペースワープに頼らないシステムでVRを楽しむのが望ましいものの、新しい最低システム要件によって、より手頃な価格帯のPCにもOculus Rift対応が広がる。Cyberpower PCは最低動作要件で組んだAMDベースのPCを499ドルで販売する。

Oculus Riftの動作を保証する「Oculus Ready」を獲得するPCは、デスクトップ’PCだけではなく、ASUS、Alienware、Lenovo、AORUSのノートPCにも広がっている。