Chromeブラウザというと高速なページ表示やアプリ実行が評価されている。一方で電力効率の悪さがユーザーの不満点となっていたが、Google Chromeチームによると先週にリリースしたChrome 53までの1年間でChromeの省電力性は大きく向上した。
Chrome 53は節目のバージョンである。Chrome OSやMac版に続いてWindows版にもマテリアルデザインを拡大、そしてHTML5をデフォルトのブラウジング体験とするためのFlash排除強化をスタートさせた。Chromeはよりモバイルを意識した方向に進み始めており、電力効率の向上もその1つである。Chromeチームが公開した「Chrome: Faster and more battery-friendly」によると、バッテリーで動作するノートPCでWindows版のChrome 53は、1年前のChrome 46に比べて、VimeoからのHD動画を2時間12分も長く再生できた。オンライン動画サービスだけではなく、ユーザーがよく利用するあらゆる種類のサイトでブラウジング時間は伸びており、Intel Power Gadgetを使った総合的な消費電力の測定でMac版のChrome 53の消費電力はChrome 46を33%も下回る。これらをスピードを犠牲にすることなく実現しており、パフォーマンスはデスクトップ版、Android版ともに15%以上も向上したという。バッテリーへの影響というと省電力に目が向いてしまうが、遅延が少なくなれば、それだけ動作時間の節約につながる。
PC用のブラウザは”デスクトップ版”と呼ばれることが多いが、ノートPCがPC利用の主流になる中、ユーザーはモバイルを快適にする効率性をブラウザに求め始めている。今年6月には、Microsoftが主要なブラウザのHD動画再生時間と実利用環境における消費電力のデータを比較し、Microsoft Edgeの電力効率の良さをアピールしたのが話題になった。