史上最小のEP-879Aシリーズ

EP-879A」シリーズは、カラリオの歴代シリーズで最もコンパクトな、6色染料インクを搭載したA4対応の多機能複合機。5年前の機種と比較すると、横幅10cm弱のサイズダウンに成功している。コンパクト化の秘訣について、久保田氏は「給紙機構やインクカートリッジの配置を見直した」と説明している。外観はインテリア小物のような洗練されたデザインで、このため家庭のリビングにも違和感なく溶け込む。

カラリオ複合機の歴代シリーズで最もコンパクトな多機能複合機、EP-879A

用紙やSDカードのセット時にも操作パネルを閉じることができる。操作パネル、排紙トレイは自動でオープンする仕様。高周波数帯(耳障りな音)を低減するなど、生活シーンを邪魔しない静音性にもこだわった。

また、新規CMYインクの採用によって、緑領域の色域が拡大。写真の仕上がりがより鮮やかになっている。フロント、リアのどちらからも給紙できる設計で、新たに名刺、トレーシングペーパーにも対応。デザインペーパー印刷により、工作やラッピングに使う用紙をつくることも可能だ。このほかフォトストレージ機能により、EP-879Aに接続したストレージに写真データを集約しておける。

EP-879AW/AB/ARの実機イメージ

このほかカラリオプリンタには、複合機の4機種が追加される。A3印刷に対応した「EP-979A3」は、PCを介さずにA3サイズの原稿をコピーすることも可能。A4対応の「EP-709A」はコンパクトな筐体ながら印刷速度が向上した。はがきや文書印刷に対応した「PX-049A」は液晶を搭載しない機種で、やはり従来機種より印刷スピードが速くなった。

写真左から、A3印刷に対応した「EP-979A3」、印刷速度を向上した「EP-709A」、「PX-049A」

「PF-81-2017」は、昨年(2015年)に発売された宛名達人「PF-81」に、人気作家のコンテンツを収録した「年賀状デザイン集 2017」を同梱したモデル。はがきの原寸大表示が可能な9型のタッチパネル搭載により、仕上がりのイメージが湧きやすい。

宛名達人「PF-81」に「年賀状デザイン集 2017」が同梱された「PF-81-2017」。9型のタッチパネルでは、はがきの原寸大表示が可能

Colorio V-editionには、高画質な作品づくりが可能な「EP-30VA」が登場。L判1枚あたり約12.7円という低ランニングコストを実現し、日常的に気兼ねなく印刷を楽しめる。シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの基本色に加えて、レッドとグレーインクを採用した6色染料インク「Epson ClearChrome K2インク」により、カラーとモノクロ、どちらの印刷でも広い色域と豊かな階調表現を実現する。

高画質と低ランニングコストを両立させた、「EP-30VA」

EP-30VAの実機イメージ

エコタンク搭載モデルには「EP-M570T」が追加される。EP-M570Tは、本体側面に大容量のインクタンクを装備。A4カラー文書を1カ月あたり300ページ印刷しても、2年間はインクの追加購入が不要だという。久保田氏は「インク交換の手間を軽減して、安心感を実現した」と述べる。

2年間のインク追加購入が不要な、エコタンク搭載モデル「EP-M570T」

EP-M570Tの実機イメージ

CMキャラクターにはあの人

鈴村氏は、各製品の参考価格(エプソンダイレクトショップにおける価格)と発売スケジュールを明らかに。主なところでは、EP-879Aシリーズが30,980円、EP-30VAが49,980円、EP-M570Tが39,980円。いずれも発売時期は10月の予定となっている。販売目標としては、2016年末の時点でインクジェットプリンタ全体の45%以上を設定している。

各製品の参考価格と発売スケジュール(写真左)。販売目標は、2016年末の時点でインクジェットプリンタ全体の45%以上を設定(写真右)

エプソンが目指すプリンタのイメージは「身近な存在」「安心」。そこで、2016年の新CMキャラクターには、女優の吉田羊さんが選ばれている。

発表会場に特別ゲストとして招かれた、女優の吉田羊さん。CMと同じ白の衣装で登壇し、撮影秘話などを語った

印刷速度向上の秘訣は?

説明会の最後に質疑応答の時間が設けられた。EP-879Aシリーズではボディサイズがコンパクトになったのに合わせて、液晶のサイズが2.7インチに縮小。これについて使い勝手に影響はないのかという質問に、セイコーエプソン プリンター企画設計部の柴崎佳秋氏は「社内でも議論があり、悩んだ。試作を繰り返した結果、UIを見直すことで使い勝手を損なわずに液晶を小さくできるという結論に至った」と回答した。

また、従来製品ではサイズがコンパクトになるにつれ印刷速度も遅くなる傾向にあったが、新製品では印刷速度が上がっている。この理由について聞かれると、柴崎氏は「印字のツブツブを打っていく段階で、紙送りの方法を見直してプリントヘッドが動く回数を減らした。これが速度の向上につながった。他社製品にはもっと速いものもあるので、私たちも検討を続けていく。画質の良さを維持した状態で、どうやって印刷も速くできるか。両立できるようにしていきたい」と回答した。