象印マホービンは8月2日、圧力IH炊飯ジャー「極め炊き」シリーズのフラッグシップモデル「南部鉄器 極め羽釜 NW-AS10型」(以下、NW-AS10型)の試食・説明会を開催した。
極め炊きシリーズの新モデル「南部鉄器 極め羽釜 NW-AS10型」。推定市場価格は140,000円前後 |
「南部鉄器」の釜デザインを一新
「南部鉄器 極め羽釜」の最大の特徴は、内釜に南部鉄器を使用していることだ。内釜の素材となる鉄は、IH使用時の発熱効率がよい上、蓄熱性も高い。このため、炊飯工程でもっとも高い火力を必要とする「中パッパ」工程において熱をしっかりと釜内にため込めるというメリットがある。そして、南部鉄器といえば、鉄を鋳造して作る岩手県の伝統工芸品。鉄を型に流し込んで作る「鋳造製品」は、一般的に製品内に小さな気泡が入り込こみやすい。しかし、南部鉄器職人の高い技術力が、これらの問題を解決しているという。
独特の羽釜形状も特徴だ。極め羽釜シリーズは、本体と内釜の側面にあえて空間を作っている。この空間上部を羽釜の羽根形状部で塞ぎ、全方位から包み込むように加熱できる。この「全方位からの加熱」を効率よく行うため、本体底面の釜全体を加熱するIHヒーターのほか、内釜の羽根の下にあたる部分には「かまどヒーター」と呼ばれるヒーターも内蔵する。
新モデルとなるNW-AS10型は、2011年のモデルから羽釜のデザインをさらにブラッシュアップした。変更点は2つ。ひとつが「羽根の大きさ」だ。羽根のサイズを大きくすることで、釜と本体の間の「空間」サイズを従来よりも大きくし、より熱対流が起きやすくなった。また、羽根の角度を斜め下に向け、本体との隙間をぴったりと塞ぐことで「かまどヒーター」からの熱を逃がすことなく閉じ込めることに成功したという。
二つ目の変更点は、釜の底面形状だ。従来は、底が大きく平たい形状の内釜だったが、沸騰時に泡が鍋肌に沿ってあがるため、鍋の中心部に泡による対流が起こりにくいというデメリットがあった。そこで、新モデルでは中心部の平面形状を小さくし、その周りにあえて傾斜をつけたデザインを採用。釜底面からまっすぐ上がる泡と、傾斜から釜中心にむかって上がる泡がぶつかり合うことで、激しい泡の対流が起こせるようになった。
【動画】新旧の釜で、釜内が沸騰する様子を比較。旧製品(右)は、新モデル(左)と比較して釜中央の泡が少ないのがわかる |
業界最大気圧・最高火力でお米の甘みをアップ
NW-AS10型は火力と圧力もパワーアップした。炊飯は最初にゆっくりと火力をあげ、炊飯中盤で一気に高火力で加熱し、釜内を激しく沸騰させる(「なかパッパ」工程)。NW-AS10型は、このなかパッパ工程の最初に最大電力1,450Wという、業界最高の大火力で加熱。このとき、釜内に強い対流を起こすことで米をふるわせ、米の「でんぷん」を水中に溶けださせる。でんぷんは、水中に溶け出すことでα化が早く進み、ご飯の「甘み」成分に変化する。
また、従来までは沸騰中つねに1.15気圧の圧力をかけていたが、新モデルでは「なかパッパ」工程後の「沸騰維持」工程において、一時的に業界最大の1.5気圧の圧力をかけるようになった。その後は一気に1.15気圧まで減圧。この減圧時に、水中に溶け出した「甘み」成分を米の中に染み込ませる。今回のモデルでは、この「でんぷん」を溶かし、米に染み込ませるまでの工程を「プレミアム対流」と呼ぶ。
なかパッパ工程において、1,450Wという高火力で一気に釜内を沸騰。釜内を激しく沸騰させることで、米の「でんぷん」を水に溶け込ませる |
従来は1.15気圧で均一にかけていた圧力を、炊飯中にきめ細かくコントロールするようになった。減圧時に水に溶けた「甘み」成分を米に染み込ませる |
会場では炊き立てのご飯の試食もできた。ふっくらとして、甘みを強く感じる味 |
圧力をかけるタイミングなどを変更することで、冷えても水分保持量をキープできる「お弁当」モードの炊飯も可能になった。写真は4時間前に炊飯された冷やご飯。冷えているがモチモチとしたみずみずしい食感はキープしている |
使いやすさにもこだわり
圧力式の炊飯器は、本体フタの気密性を高める必要がある。このため、非圧力式の炊飯器と比較すると、フタの開け閉めには力が必要だ。そこでNW-AS10型は、クローズボタンに軽く触れるだけで自動的にフタが閉まる「スマートクローズ」機能を搭載した。
炊飯後の片付けが簡単なのも特徴。従来までは、蒸気口セットなどを含めると、6点のパーツを洗う必要があった。しかし、新モデルでは蒸気口を取り外して洗う必要がなくなり、毎回洗いが必要なパーツはたったの3点となった。